(中編) 黄金山基地の未確認生物たち:やっと先が見えてきた
3話 魚心あれば水心
城は真ん中に1本、それを包むように4本、いずれも細い円柱に近いゆっくりとした円錐型で最も高い塔は高さ100mはあるでしょうか。
そして輪投げの輪のような大きなリングが4、5個填められ、驚くことに他の塔のリングと渡り廊下のように繋がっています。
中心にある塔の外壁は白色、周りの4塔は薄い青、黄、緑、ピンクと様々ではありますが、不思議に調和が取れていて美しいです。
娑羅姫と私は白色の中心塔の最上階にある大きな空間、言ってみればパーティー会場に案内されました。
そこからの眺望、それはドーム型基地内部が一望でき、実に素晴らしい景色でした。
集まってくれた者たちは、この黄金山基地のオーナーであるKASIKO星人、HYOKORI生物、愛ロボちゃん達、そして山烏(やまがらす)・ジッチャンとバッチャン、マーマー姉さんと浩二たちの地球人達、合わせておよそ50体くらいは参集していたでしょうか。
魔界平(まかいひら)娑羅姫の歓迎パーティーは実に盛大で華やかなものでした。そんな一時も大詰めとなり、カプセルから降り立った時に歓迎を受けたKASIKO星人の代表、というか自治会長であろう生物が舞台に上がりました。
そしてまたまた挨拶を始めたのです。
「宴もたけなわでありますが、ここで中締めとさせて頂きます、が、ここで本日の本題に入らせてもらいます」
本題って?
それは何ぞやと全員の視線がその代表に集まりました。
これを確認した代表はおもむろではありましたが、強い口調で、「娑羅姫にたってのお願いがあります」と。
これを聞いた聴衆からは「それは、what?」、「何ぞや?」と興味津々の声が。
これを受けた自治会長はキリッと背筋を伸ばし、少し震えた声で述べられたのです。
「魔界平娑羅姫に一世一代のお願いがあります、どうかこのお城に住んで頂き、姫ではなく、黄金山基地の・・・『女王』・・・、女王になってもらえませんか!」
オッオー!
女王、クイーン、女王、会場は大きくどよめきました。
私も生涯でこれほどびっくりしたことはありません。
腰が抜けそうになりました。
作品名:(中編) 黄金山基地の未確認生物たち:やっと先が見えてきた 作家名:鮎風 遊