(中編) 黄金山基地の未確認生物たち:やっと先が見えてきた
6話 烏兎匆々(うとそうそう)
プロジェクト『平安時代に戻ろう』をスタートさせてから10年の歳月が流れました。
娑羅女王と私・ご飯のお供との間には一男一女のベービーを授かりました。
また浩二とマーマー姉さん家も、多分多産の血なのでしょうか、二年ごとの子宝に恵まれ5人もの子供達です。
親として子供達へ願うことは、この基地内でKASIKO星人、HYOKORI生物、AIロボSOUMEIから5000年先を行く文化文明を学び吸収し、地球生まれの宇宙人として銀河へと羽ばたいていってくれることです。
さてさてと、内輪話はこの辺にしときまして、プロジェクトのその後、どうなったかを報告させてもらいます。
地球の自然を平安時代に戻す、こんなプロジェクトをスタートさせたわけですが、加速する地球温暖化をどうストップさせるか、また頻発する地震、火山噴火、台風などの被害をどう最小化させるか?
私たちは基地内の住人、KASIKO星人、HYOKORI生物、AIロボSOUMEIたちと議論を重ねました。
そして合意に至った結論は、『急がば回れ』でした。
要は、黄金山基地のマンパワーだけでは無理。
よって、『平安時代に戻ろう』プロジェクトに賛同する高度な技術を持つ人材をもっと増やそう、それを第一歩としました。
そのためにまず基地から女王の生家へと繋がるトンネルを再開させました。
そして黄金山の地下に眠る黄金を資金とし、生家の隣に『バックツー平安自然学塾』を目出度く開塾したのです。
塾生が集まるかどうか心配でしたが、莫大過ぎる資金を元に、もちろん学費と塾生寮における生活費や食費無料です。
これにより口コミで、当初は30人の定員に対し2、3人しか集まらなかったのですが、10年が経過した今は倍率30倍となりました。
3~4年間、地球の5千年先の教育を施し、社会へと塾生を放ちます。
しかし、それでもさらに塾に残り学びたいと思う者については、ここで初めて黄金山基地の存在を明かし、基地住人、つまり地球宇宙人になることを勧めました。
こうして我々の仲間は10人増えました。
作品名:(中編) 黄金山基地の未確認生物たち:やっと先が見えてきた 作家名:鮎風 遊