(中編) 黄金山基地の未確認生物たち:やっと先が見えてきた
4話 Together, always as ever !
その会長さんが女王と浩二と私を集めまじめ顔で仰るのです。
「女王さまとその夫の直樹、そして友人の浩二、早速ですがあなた方にファーストミッションをお願いしたい」
これは大事なことであろう。
だが私は娑羅姫の夫と認識され、とにかく、……、嬉しかったです。
だけど我が妻は至って冷静で、「何なりと申されよ」と。
いやはやすっかりクィーンになっちゃってさ、思わずケケケと笑うと、「おい、ご飯のお供、下品だぞ」と代表からお叱りを受けました。
それから非常に重い表情をなされ話し始められたのです。
「この美しい星、地球は危機そのものじゃ、温暖化で南極や北極の氷は溶け、気温は猛暑と極寒が繰り返されとる、そのせいか豪雨で山は崩れ、川は氾濫して平地があっという間に水没しよる、さらに地震は頻発するし、火山の噴火は日常茶飯事だ、まさに地球が壊れつつある、そこでお三方にこの地球の危機を救ってもらいたい、これは人間だけでなく地球上のすべての生物、さらに宇宙人のためにも、この星を守って下され、これがミッションです、もちろん我々も最大限のサポートをさせてもらいます」
こんないきなりの懇願、オッオッオー!
我々3人は三歩以上後退りせずにはいられませんでした。それから気持ちを落ち着かせてから私は尋ねました。
「あなた方は5000年先を行く宇宙人、その知能を持ってすれば、容易(たやす)いこと、それに比べ私たちは普通の地球人、そんな大それたミッション、ちょっと無理かも、……、で、なんで?」と。
すると自治会長はその緑目を少し閉じ、それからパッと見開き、「生き物がいる安定星は遠目で見守る、オッオッオーの危機星は補佐する、これが宇宙ルールでありましてね、地球は疑いの余地がない危機星です、そこでこの基地の女王となられた娑羅姫とお主たち2名の使命を全面的にサポート致します」と言葉が強くて熱い。
しかし、ほぼ偶然にこの基地に迷い込んできて、これからここで生きていくことを、言ってみれば単なる成り行きで決めてしまったところであるにも関わらずですよ、『地球を守れ』って、そんな大それたミッションを突然与えられてもね、……。
もう訳わかりまへん。
ただただポカーンと口を開けるしかなかったです。
作品名:(中編) 黄金山基地の未確認生物たち:やっと先が見えてきた 作家名:鮎風 遊