(後編) 黄金山基地の未確認生物たち:私の一番は魔界平娑羅
この状態が1分は続いたでしょうか、そこから私はやっと蘇生し、もう一度確認しました。
「その星シャブリって、何なの?」
私は非常に単純に我が妻に聞き返しました。
すると女王は蕩々(とうとう)と答えてくれはりました。
「星シャブリは宇宙最大の生物よ、そうね、地球の大きさ1万3千キロメーターの約3倍長く4万キロメーター、幅は地球を丸呑みできる2万キロメーターあるとか、その姿はね、まるで胴太のウツボよ、好物は有機生物が存在する星で、一気に吸い飲みして、お腹の中でくるくる回してシャブリ尽くすの、そして味がなくなればボコッと吐き出すのよ、これで星はツルツルのビー玉星になるんだって」
妻はこう言ってのけ、あとはツーンと。
これぞ女王さまの得意の澄まし顔か、そんな感動を少しばかりしましたが、内容が内容だけに全身に震えが走りました。
もちろん横にいる浩二も「宇宙最大の未確認生物・星シャブリ、ああ恐、ああ恐、俺オチッコちびりそう!」とジーパンの上から己の一物をしっかり摘まんどりました。
そんな時に、「おまはんら、しっかりせえ! 地球を守るため星シャブリなんかやっつけろ、それがオマハンら、いやいや地球宇宙人としてのタスクじゃ!」と背後からガツーンと声が掛かってきたのです。
その声の主は?
恐々(こわごわ)振り返ると、マーマー姉さんが私と浩二を睨み付けてきてるじゃありませんか。
そしてその背後には山烏ジッチャンとバッチャンが腕組みして仁王立ち。それに思わず浩二と私は「星シャブリより……、こわ~い!」と声を上げました。
すると「あら、未確認生物・星シャブリは最上級ににこわ~いわよ」と我が妻の娑羅女王がさらりと仰られて、「ただ一つね、ヤツの苦手なものがあるらしいの、さっ、ジッチャン、この恐がり野郎に説明してやって」とまことに冷たいニッコリを。
これに応えて山烏ジッチャンはカー・カーと二鳴きされて、「星シャブリの好物は有機物、そして苦手な物は何ものにも反応しない無味無臭の……、砂金じゃ」と。
これに浩二と私は声を合わせて「ホッホー、なるへそ!」。
それに間髪入れずにジッチャンが「宇宙時空弾丸カプセルから宇宙空間に砂金の袋を作り、それで包み込む、そしてその上に砂金をぶっかけてやる、それでヤツは嫌で嫌で逃げまくり、それで追い込んで、底なしブラックホールでお陀仏させるんだよ、これぞ砂金黒穴大作戦だんべ」とドヤ顔だ。
作品名:(後編) 黄金山基地の未確認生物たち:私の一番は魔界平娑羅 作家名:鮎風 遊