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タイトルの「悪魔」

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「出版したいんだけど」
 という甘い言葉をかけていた。
 出版社の男は軽い気持ちで請け負ったのだが、ゴーストライターには、それが許せなかった。
 もちろん、出版社の男も許せないが、彼女も許せない。それで、まずは、出版社を亡き者にした後で、彼女を殺そうかと思ったところへ、脅迫を受けることになったことによって、彼女に出版社の人間を殺したことを話せなくなった。
 それで、建設会社の男が、出版社の男を殺したかのように、偽装工作をしようと考えたが、そもそも無理があった。
 二人の殺された人間に、接点がなかったからだ。
 だから、別々の殺人ということにしておいて、捜査が進むにつれて、二人が知り合いだったかのように誘導できればいいと思ったのだ。
 そこで、彼女は、警察に事情を聴かれるだろうから、その時に、脅迫を受けていたと白状し、脅迫というキーワードで、二人の男の関係を警察に悟らせようとした。どれだけ自然に二人が関係していたかということを考えさせるには、この方法が一番いいと考えたのだった。
 ただ、一つ気になったのは、
「二人だけで、こんな大それたことができるのだろうか?」
 と思いながら、例の、
「悪魔爺さん」
 を見ていると、
「ひょっとすると、この事件にも、本当の悪魔と言えるような人物が、見え隠れしているのではないか?」
 と感じたのだ。
 あくまでも、まったくの妄想であるが、
「俺が第一発見者になったというのも、できすぎているよな」
 と考えると、だんだん、事件が広がりを見せながら、ピースが嵌っていくような気がしてきたのだ。
「どこかに落としどころがあるんだろうが」
 と考えたが、
「実は、最後のピースが嵌ってしまうと、それまで解けかけていた謎が、瓦解してしまうような気がする」
 と思えたのだ。
「死体を発見したことによって、どこまで自分の発想が小説として生かされてくるのだろうか?」
 と、大谷は考えたが、
「そのうちに、桜井刑事と浅倉刑事が、俺を重要参考人として連行することがあるのではないか?」
 と思えて仕方がなかったのだ。

                 (  完  )
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作品名:タイトルの「悪魔」 作家名:森本晃次