認知症に遠い心の持ち方
その11
決めていた大学の近くに申し込んでいた学生寮を解約し、本命の大学の近くの寮を探して決まった。とても便利な場所にあると言ってきた。
やれやれ、という気持ちで私も気分が落ち着いた。
細かい生活用品は娘は買いに行く時間がないだろうと買い溜めしていた荷物を送っていた。
娘からは「細かいね」と言ってきた。
生活する上で必要な物一切を二度に分けて送っていたので、あとの大きい家具や布団は娘が買うだろうと思っていた。
寮でちゃんと生活できるのだろうかと、次の不安がじりじりと押し寄せては来たが何とかなるだろうと考えないことにした。なにもできない子にしてしまったと娘はしきりに反省していた。
作品名:認知症に遠い心の持ち方 作家名:笹峰霧子