認知症に遠い心の持ち方
その10
受験が全部終わって娘は入学の手続きや入学の費用を送り慌ただしい日々を送っていた。私はご苦労様という気持ちで応援もし、学費にと積み立てていたなにがしかの送金をした。
子供は希望の大学ではなかったが、評判も良いしがり勉タイプでないお洒落なその学校は合ってるのじゃないのと娘と話していた。私の友人らもみな良い大学ですよと言ってくれた。
かなり日が経ってから娘からメールが来た。
本命の大学が受かったというものだった。
すでに別の大学に授業料半期分を納めているのが気になった。
本人は当然本命のほうを希望しているらしく、お金のことは諦めよう、一生の問題だからと娘と慰め合った。
肝心の子供からは「●●大へ合格したよー」と活き活きしたメールが来た。
本人がこんなに喜んでいるのだからお金は二の次だわ、と私も諦めることにした。
作品名:認知症に遠い心の持ち方 作家名:笹峰霧子