認知症に遠い心の持ち方
その2
彼女の年齢は82歳。その時点で娘の家に行き現在は85歳でまもなく86になる。
自宅の家を売家にして出て行った理由は、娘の障害のある夫の死去により同居が可能になったこと。働いていないので収入は年金しかなく食べていけないので、親が同居して年金の一部を足してやれば食べて行けるという考え。
三番目の理由は彼女自身独りで生活することに自信がなくなったこと。
以上の理由で娘との生活が始まったわけだが、家事一切はせず、医者通いの他はほとんどテレビを観ていると言っている。白内障の手術をした先生からテレビはどんどん見て下さいと言われ安心して見ているらしい。
今のところは安穏にさして不自由でもなく、娘とのトラブルもなく暮らせているので結構なことではある。
作品名:認知症に遠い心の持ち方 作家名:笹峰霧子