認知症に遠い心の持ち方
安気に暮らし始めたお向いさんの場合 その1
お向いさんは三年前に娘と同居する為県外の、東京へ二時間ぐらいで行けるという大都市に行った。
知らない土地で年寄りが友達を作ることはできないと言い、四国の元自宅に居た頃親しくしていた人達に電話をかけ回ってその日を暮らしている。なかなか話し相手は捕まらないらしくたまに私にもかかってくるが、以前と全く変わらない明るい声で楽しいおしゃべりができる。
おしゃべりが趣味だと前々から言っていたが話の間のとり方や交互に話せる術はわきまえているので話をする分には楽しい人だ。
作品名:認知症に遠い心の持ち方 作家名:笹峰霧子