認知症に遠い心の持ち方
その4
私の家と近辺の家の立ち退きが決まり街の住宅街に転居したときは千代ちゃんの旦那はまだ存命だった。千代ちゃんの家は立ち退きの区域ではなかったのでそのまま住んでいた。
私たち家族は猫も、認知症の叔母もつれて、夫と母が荷造りをして引っ越しをした。その大変な時期には私は他県で子供と行動を共にしていたので、帰って来た時には新しい家が完成していた。
母は80歳を越えていたが荷造りは全部自分でしたらしい。移動の手配や細々とした荷物を運ぶのは夫一人でやってのけた。夫もまだ50代に入ったばかりだったので新居に移るのを楽しみに、土地を探し家を建てて住めるようになるまでにやり遂げた。
作品名:認知症に遠い心の持ち方 作家名:笹峰霧子