悠々日和キャンピングカーの旅:⑩「ゆるキャン△」聖地巡礼の旅
■旅の初日?:自宅⇒奈良田温泉到着まで
自宅から東方面に向かう時はいつも、エコパ(小笠山総合運動公園)の横を走る。
エコパにはアリーナが併設され、けっこう有名な歌手のライブも開催され、その時は、最寄りのJR愛野駅からは人の列が続き、クルマで来る人も多く、エコパ周辺の道は渋滞する。なので、その道を走る前には、ライブの有無の確認が必要だ。
そんなことを思いながら、快晴の下、隣の市に住んでいるMTさんの自宅に向かった。
彼は、着替えなどが入ったバッグとシュラフをダイネット(運転席後方のリビング・ダイニングスペース)に積み込み、助手席に乗ってきた。
助手席もリクライニング・シートだが、そのすぐ後ろにダイネットの壁があるので、背もたれがあまり倒れない。だから、「助手席に座ると姿勢が良くなるよ」と説明した。
運転席は助手席よりほんの少しだけ背もたれが倒れる。「ジル」のベース車のトラックと同じポジションでの運転になるが、これまでの旅の経験から、運転には、そのポジションがちょうど良い。
これまでの旅では、妻が助手席に乗る際は少し不満があるようで、フートレストを置いて、足が疲れないようにしている。
私にとっては「友人との初の二人旅」、MTさんにとっては「初のキャンピングカーの旅」になるので、その記念に、「ジル」の前に立ち並び、セルフタイマーで写真を撮って、1泊2日の旅が始まった。
R1の掛川バイパスで東に向かった。最初の会話は当然ながら、今日の目的地をどこにするかだ。
あらかじめ考えていた候補を説明すると、「梅ヶ島」は以前、MTさんとバイクで日帰りツーリングに行ったことがあるとのこと。
私は、そのツーリングのことを殆ど記憶していなかったが、彼の説明を聞いているうちに、その帰路、駿河湾に面した由比バイパスで、海から吹き付けるものすごい横風に、バイクのハンドリングがかなり大変だったことを思い出した。この旅が終わってから、その時に撮った写真を見てみよう。
ということで、行き先は「奈良田」に決まった。
MTさんとは色々な話題についての会話が続いた。
たとえば、二人とも仕事をしていないので、昼間は何をしているのかの話、お互いの趣味の話、仕事で出張した中南米の国々の話、そして懐かしいコロンビア駐在の時の話、等々。その中でも、今後の発展性があった話題は「360度カメラ」だった。
私の趣味のひとつに、パラモーター(エンジン付きのパラグライダー)での「空の散歩」があり、ほぼ毎週、遠州灘を見ながらのフライトを楽しんでいる。時々、デジカメで空撮もやっているが、今度は、「360度カメラ」を借りて、ビデオの空撮にトライしたくなった。
それにしても、MTさんとの会話は、妻とのふたり旅の際の会話とはジャンルが違っていて、私の知らない内容の会話が面白く、幅も広がり、暫くは、CDの音楽やラジオを聴くことはなかった。
R1の藤枝バイパスを広瀬ICで下りて、焼津さかなセンターの前を走り、R150に入った。新日本坂トンネルを抜けてからは富士山が見え始め、安倍川を渡ると静岡市だ。R150は駿河湾沿いを走り、徳川家康の墓がある久能山東照宮の崖下にはビニールハウスが立ち並び、いちごロード(R150)を走り抜け、清水へ向かった。
清水港の江尻埠頭に面した清水魚市場「河岸の市(かしのいち)」の「いちば館」で夕食用の食材を買う予定だったが定休日。ちょうど昼時だったので、その隣の「まぐろ館」に入った。
日本のマグロの水揚げ量の約1/3の焼津漁港のため、「まぐろ館」のどの店も、マグロ、まぐろ、鮪で、私は3種類のマグロの中トロ丼、MTさんはマグロのフライ定食を食べた。旨かった。マグロを食べるならば焼津、なのだろう。
R1の静清(せいしん)バイパスに乗ると直ぐに見えたのは、清水港の興津埠頭(おきつふとう)。流れる車窓風景の中に見えたのは、船の中心部に高い櫓(やぐら)が備わっている巨大な船、多分、JAMSTEC(海洋研究開発機構)の「ちきゅう」だろう。世界で唯一、マントルまで掘ることができる船なので、水深の深い駿河湾での何かの調査のためか、清水港に寄港していたのだろう。
東日本で一番早くアユ漁(友釣り)を解禁する興津川(おきつがわ)沿いに北上する身延道(R52)に入り、途中のスーパーに立ち寄った。
今夜の夕食の献立を考えながら、食材を選んだ。ついでに朝食用の食パンも購入。「アラカン」の二人とも酒は飲まないので、ビールなどは買わず。
紀行文を書いている今、この旅の日は鮎釣りの解禁後だったのに何故か、鮎を買わなかった。その理由を思い出せないが、鮎は塩焼きが旨いのだが、多分、「ジル」の中で、魚を焼いたことがなかったので、意識的に、対象から外したのかもしれない。
スーパーから先、R52は山の中に入る。
バイクでは、コーナーとアップダウンが続く道は楽しくなるものだが、キャンピングカーはそもそもコーナーリングを楽しむクルマではない。上り坂は、ディーゼルターボで気持ちの良い運転になるが、下り坂は、3トンの車重で慣性力が大きく、速度がかなりアップしてしまい、その先がカーブしているものなら怖いほどだ。なので、シフトダウンやブレーキを繰り返し、かなり注意が必要だ。
加えて、ベース車のトヨタのダイナより、左右に15cmずつ広く、2mの車幅の「ジル」の運転は慣れてはいるものの、山間の道では注意を要す。
そして、燃費のことを考えると、山間の道では、「ジル」は制限時速で走るのがちょうど良い。
そのような運転をしていると、一瞬だが、正面に富士山が見える場所があり、静岡県民らしく、心の安らぎを覚えた。
やがて、県境を越えて山梨県へ。富士川が見え始めるあたりに、道の駅「とみざわ」があったが、小休止するにはまだ早い。
その先にも「なんぶ」という道の駅があり、その横では、中部横断自動車道の延伸工事および南部ICの建設が進んでいた。(2023年12月現在、その両方とも完成済。富沢ICから六郷ICの区間は無料なので、南部ICから下りて、道の駅「なんぶ」に立ち寄ることができる)
そこからは再び山の中を走ると身延町に入った。正面に見えるのは身延山、その麓には日蓮宗総本山久遠寺がある。
身延といえば、「ゆるキャン△」の「野クル(野外活動サークル)」の3人が、JR身延駅近くの和菓子屋で「みのぶまんじゅう」を買って、富士川が見えるベンチに座って食べたシーンを思い出した。MTさんもそうだったのか、「アラカン」のおじさんの話題は自然と「ゆるキャン△」になっていった。
私は、「ゆるキャン△」のコミックスは読んではいないが、TVアニメはシーズン1も2も見ており、実写版TVドラマもシーズン1と2、そしてスペシャルの全てを見た。
アウトドアライフを楽しみながら、登場人物が起こす色々なストーリーが面白く、且つその現場は、少し足を延ばせば行ける隣の県であり、地元の静岡県も取り上げられ、身近な出来事のように感じられることから、数多いアニメの中でも、「ゆるキャン△」は私好みのアニメだ。