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ショートショート まとめ

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あ〜そ〜びましょ



ここ村はずれにある由緒正しい伝統ある神社も村の過疎化により、年に一度の祭礼とチラホラと現れる初詣の時以外はひっそりとしていた。その境内にある大きなイチョウの樹は、樹齢八百年とも言われる老木である。根元はマングローブのように数本の太い根がからまりあいながら地上に出ている。

…今年はなぜか元気がよさそうだ… 最初に異変に気付いたのは古い神社の神主だった。年々弱ってきているなあと数年感じていただけに、だんだん年老いて来ている自分も元気をわけてもらった気もした。

そのイチョウは夏になって枝もさらに勢いを増し、遠くから見ると小山のように見え、神社を隠してしまうほどだった。
「ふむふむ、今年は良い変化がおこるかな」と神主は毎日力強いイチョウの樹を眺めながら、自分が風景画の一部分になったように時が過ぎてしまったここ数年を思い起していた。

秋になってだんだんと黄色に変って行くイチョウの木を見るのも飽きなかった。
「また、なんと見事な!」神主は感嘆の声をあげた。一週間ほど所用で留守にして帰って見たら、樹全体の黄色に夕陽が当たって黄金のように見えた。


そしてある夜に大きな音で目が覚めた。音はすぐに止んだので地震だったのかなあと思いそのまま寝たが、朝起きてびっくりした。イチョウの樹の根元の土が盛り上がっている。神主は「どうしたんだろう、モグラにしては盛り上がりが大きいな」と独り言を言いながら、その土を平らにならしておいた。