ショートショート まとめ
手抜き料理
2×××年、地球温暖化はもう歯止めがかからず、極点の氷が溶け出し初めていた。学者によるシミュレーションでは、水位が最大100mは上昇するという結果が出ていたが、実際は水位が反対に下がり始めていることが各地で報告されている。
これは蒸発によるもので、その結果、雲が出来て雨が降る筈だった。最初のうちはそうだった。しかし地球の周りを覆った雲は雨にはならず、次々と蒸発してしまっている。
その結果、深刻な水不足と地球の砂漠化が急激に進んだ。
数十年の間科学と気象の戦いは続いた。まだ海水があるうちは、それを真水にして使用したが、それもだんだんと少なくなってきている。エネルギーは科学の力で十分まかなえたが、食料は自然環境ではもう作れず、地下工場で合成されている。
地下に潜った人間は過酷な熱のもと、細々と種の保存を計ったが、事態は深刻なものとなっていった。
クチャッ!
そして、ある日突然地球は巨大なブラックホールに飲み込まれた。
「何だかあまり美味しくないな、匂いもよくないし」
夫はまたオカズに文句を言う。私だって働いているんだし、手を抜くのはしょうがないじゃない。4万年前に冷凍したらしい地球だけど、2万年ほど自然解凍にしたら人間菌が繁殖たかな?
チンしたから大丈夫よね?
end
作品名:ショートショート まとめ 作家名:伊達梁川