ショートショート まとめ
退化
何? 家事全般から収入確保までだと。そんなロボットが出来たのか。いやあ、SFの世界が現実になったんだ。三毛元は驚いてしまった。親の遺産でブラブラとアジア各地を放浪して日本に帰って来たら、浦島太郎のように感じてしまった。
さすがにそのロボットは高くて家を一軒買うくらいの値段であったが、収入確保までしてくれるとなるとナマケモノの俺にはピッタリじゃないか。そう、三毛元は思った。幸い親の遺産がそのくらい残っていた。さっそくパンフレットをとりよせてみた。
種類 ヒューマノイドロボット男型(または女型)
産地 日本
特長 自己学習進化型勤勉付(または楽天付)
収入 就職勤務(家事専念)
おおむねこんなところで、あとは臨機応変に学習進化してゆくらしい。特長で勤勉付が楽天付というオプションがあるらしい。男型、女型は最初に決めれば、数年後には配偶ロボットを見つけ、共同生活をおくるらしい。ということは、1体が数年後には2体に増え、各自収入確保や家事全般をやってくれるわけだ。ふむふむ、そうすれば好きな時に寝て、起きて「メシ」と言えばご飯が出てくる。好きな時に遊びに行けるし、これは買わない手はないだろう。三毛元は早速申込んだ。
納車じゃ無かった、納人されたロボットは、ヒューマノイドというよりはET型というような風貌で、男前とは言えなかったが、中国人が話す日本語みたいな言葉でしゃべり出すと、何となく愛嬌があった。全ての設定が済んでいるらしく、「私の名前はスーヤンです」と自己紹介を済ませるとすぐに部屋の片づけを始めた。両親亡き後一人で一戸建の家に住んでいる三毛元は、無精者なのでかなり家の中は汚れ、散らかっている。しかし、さすが勤勉型の男を注文しただけあって、四つの部屋があっという間にきれいになった。
三毛元が感心してスーヤンの動きを感心してみていると、「あの、何かよーですか」と聞いてきた。三毛元は急に尋ねられたのでびっくりして、とっさに「メシ」と言った。スーヤンは、冷蔵庫の中を見て、何か独り言を言っていたが、「買い物いてくる、おとなしくまてる」と言ったので三毛元はあわてて財布を取り出したが、スーヤンは「オカネあります。心配ない」と外に出て行った。
翌日、スーヤンは「会社いてくる、いいこでいるね」といい、その日からサラリーマンになった。
三毛元とスーヤンの生活も半年たってすっかり慣れた頃、スーヤンはオーリンという女型のロボットを連れて来た。オーリンはマンガのドラえもんみたいな体型のロボットで、三毛元をおおいに気に入り、色々と話しかけてきた。三毛山もオーリンが気に入り、毎日来てくれないかなあと思っているうちに、「ワタシタチけっこんしました」と言ってオーリンも一緒に生活することになりました。
作品名:ショートショート まとめ 作家名:伊達梁川