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子孫かしら


「竹やぶの側を通りかかったら、泣き声がするので行ってみたら、ほらこんなに可愛い赤ん坊だ。どうだろう、俺たちに子供ができそうもないし、育ててみようではないか」

行商から帰った茂作が白々しい嘘をついているのだろうと思ったが、あまりに可愛いので、菊はそのままその子を育てることにした。

戯れに乳首を吸わせているうちに、奇蹟が起きた。自分が産んだわけでもないのに、おっぱいがでるようになったのだ。

菊は夫がどこかの女に産ませた子だろうと思っていたが、茂作は全然やましいことはありませんという態度で、菊と子供に接している。(この子は本当に捨てられていたのかしら)と菊はだんだんと夫への疑念が晴れていくような気がした。

というよりも、竹と名づけた娘が日ごとに可愛い女の子に成長していくので、他のことを考える暇が無かった。
 
竹は誰もが振り向き、見とれるような年頃の娘に成長したが、つい甘やかしてしまったのだろう。特に茂作は行商の帰りに色々なものを買ってきて竹に与えすぎたようだ。
一部屋与えた竹の部屋に入るたびに、菊はめまいに似た感じに襲われる。脱ぎ捨てられたままの色とりどりの着物が私を見て助けを呼んでいるようでもある。読みかけの本。お菓子の包み紙。
 もう手のつけようもない。何度言ってきかせても、さらには菊が手本を見せて一旦は部屋が片付くのだが、いつの間にか部屋は元通りの混沌になってしまう。菊は何のために娘の部屋を開けたのか思い出せなくなって、足元の着物を掴んだまま呆然としてしまった。
 
一方、竹は何人もの貴族やお金持ちに求婚され、「ああ、決められないわ。どうしよう」と菊に泣きついた。