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そして今は

夫が庭で一生懸命車を洗っている。
そして、磨いている。
まさに、磨くだ。
ちっ！
私もあれだけの情熱で磨かれたいものだわ。
素材だって悪く無い筈よ。

さすがに疲れたのだろうか。
一休みかな？
ポケットを押さえて、あ、タバコね。
テーブルの上にあるけど、持っていってあげない。
「おーい、タバコとってくれ！」
テレビのボリュームを上げる私。

夫がブルブツ言いながら入って来て、タバコをつかむ。
さらに、冷蔵庫をあけて、
「ウーロン茶ないぞ！」
「疲れてるの、あなた、買ってきて」

夫がブツブツ言いながら出て行った。
私は所在なく庭に出る。
ピカピカに磨かれた車。
私は、車を嫉妬の眼で見る。
車が、心なしか後ずさりしたような気がした。
そして、頭の中で……
「替わってみます？」と声。

　　　　　　　＊　　　　　　　　　＊

夫は優しく優しく私を扱う。
私は嬉しくて一生懸命仕えた。

そして時が過ぎた。

最近彼の様子がおかしい。

彼はついに私を見放し、エコなんとか　に乗り換えてしまった。

私は今、中古車売場で雨に曝されている。