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ショートショート まとめ

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燃ゆる思い


私は今、忘れられ仲間と一緒に薄暗い部屋にたたずんでいる。栄枯盛衰は世の常とは思うものの、身の燃ゆる思いと、暖かい眼差しが見られないのが悲しい。そして賞讃の声も聞かれることはない。ただこうしてじっとしているのがつらい。

先祖は童話の名脇役となり、世界中の人々の涙をさそったという言い伝えも今は空しい。
ああ、仕事がしたい。この燃ゆる思いをどこにぶつければいいのだろう。

久し振りに、本当に久し振りに陽の当たる場所に出された私達は、結局本来の仕事はさせて貰えなかった。ただマグロのように並べられ、あちこち移動させられ、三角形の一部となったり、文字にさせられたあげく、またもとの所に戻されただけだった。

仕事といえば言えなくもない。現に仲間の数人は、この仕事でTV出演もしている。プライドが無いのかと怒鳴りつけたい気持ちもあるが、全く無視されるよりはいいだろう。

それにしても虚しい。いっそ、外国の戦地に行って自爆テロに参加したいくらいだ。もっともそれには能力が足りないのだが。

待ちにまった日が来たような気がした。私は身震いするような気持ちとともに部屋から出された。
ぎこちない手つきで私を出してくれた、まだ幼いその子は、私達の正体を知らないのだろう。好奇心旺盛に見える瞳が眩しい。

その子は父親が灰皿に置いたままのタバコの吸いかけを指でつまもうとした。
熱い! びっくりして手を引っ込めたが、興味は尽きない。今度は頭を働かせて、私を使おうとした。私は溜まりに溜まった燃ゆる思いを、煙の出ている熱い場所にぶつけた。

頭が真っ白になって私ははじけた。そしてびっくりした幼児の手を放れた私は、新聞紙の上に落ちた。

幼児が慌てて逃げて行ってすぐ、仲間の歓喜の声が一斉にあたりにこだました。


私はカーテンが騒動に巻き込まれたのを見ながら、燃えつきて行く。