自転車事故と劇場型犯罪
「買い手側から見ての一番の変化」
というのは、この注文方法ではないだろうか?
最初の頃は、
「専用の電話機」
というようなものがあり、ブッシュ電話で注文専門のダイヤルを回すと、向こうでは、
「自動応答性」
となっていて、アナウンスに従った、プッシュボタンを押すことで注文できる。
たとえば、
「会員番号をどうぞ」
「商品番号をどうぞ」
「数量をどうぞ」
などと言われると、カタログに載っている番号やお届けしてほしい数量を入力することで、注文できるというのが、ざっくりとした方法だった。
そのうちにネットの普及によって、今では、インターネットでのホームページから、クリックすることで注文ができるようになった。
前はパソコンからだったが、最近では、スマホからが主流にあり、まずは、
「その進化が著しい」
といってもいいだろう。
そして、配達日が、明日か明後日かということにあるのだが、翌日配達などは、配達側が大変である。
注文を受けてから、製造先に注文をする。加工食品や日用品などは、在庫をある程度持っているだろうか、安心なのだが、生鮮品や日配などは、
「注文を受けてから、製造の発注を行う」
ということで、夜の3時に注文が入り、その日の朝8時くらいまでに納品しないといけないなどというタイトなスケジュールだったりすることもある。
大変なのは、トラックに積み込むまでの作業である。たくさんの注文の中から、例えば牛乳が全部で1000本だとすれば、それを一度に出してきて、それを会員ごとに振り分けて。そして、他の商品も同じように振り分けられた商品をかこに入れて配達をするということになるのだ。
基本的に、伝票などでは間に合わない。
会社や地域の規模にもよるが、一日に数千人の配達などというと、とてもではないが、手で集めてきたりなどするのは至難の業である。
だから、基本的には、
「デジタルピッキング」
というものになるのだ。
一列のレーン、つまりベルトコンベアを膝くらいの高さを通るようにしておいて、その後ろに人一人が動けるだけの隙間を設けて、そこに、商品を入れる棚を作っておく。あらかじめどの棚にいくつ入れるかをデータとして渡し、その数だけ入れておいて、実際にレーンを流すと、ベルトコンベアのところの箱のところと、商品の前にランプがつくボタンがついていて、
「棚から、いくつ取って、どの籠に入れるか?」
という指示を出すことで、そのお客さんのかごに、
「ベルトコンベアを一周することで、お客さんの注文したものが集まる」
という仕掛けになるのだった。
それくらいの仕掛けでないと、とてもではないが、配達する商品をそろえることはできないだろう。
それを今度は、軽トラに載せるわけである。
「軽トラに載せて配達する」
と一口にいっても、いろいろな問題がある。
まず最初の問題は、
「軽トラックに、どれだけの箱を載せられるか?」
という積載量の問題。
もう一つは、
「一人のお客さんが注文したものが、箱のいくつに収まるか?」
という発想。
注文の数によっては。3箱、4箱ということになるだろう。
そうなると、トラックに載せられる箱の数の限界を考え、
「1台にどれだけの会員さん分を載せられるか?」
ということになる。
そして、トラックで配達するので、
「配送コースに沿って、一人が運べる限界を考える」
なども必要になってくる。
当然、それによって、トラックが余計にいったりするだろう。
それらのことを、コンピュータにて処理をし、品出しは品出しようの部署に、配送は配送ようの部署に、それぞれデータ化して送り、そこで、指示書なりを出力して、それを元に作業することで、
「やっとお客さんに届けられる体制が整った」
と言えるのだ。
後は、それに基づいて、作業員が作業することになる。そのほとんどは、アルバイトだったりパートということになる。
パンデミック前は、(今もそうなのかも知れないが)外人が作業していた。
留学生なる名目で日本に来て、アルバイトをしている連中である。
特に都会のコンビニやファストフードの店員には、外人どもが多く、
「鬱陶しい連中だ」
と思っている人も結構いるのではないかと思う。
言葉も分からないくせに、マニュアル通りのことしかしない、融通の利かない連中に、苛立ちを覚えている人は、本当に少なくはないだろう。
そんな食料品や、日用品の宅配は昔からあったが、
「アーバーイーツ」
のような、
「ファストフードを集めて配達をする」
というようなシステムは最近のことである。
元々は、
「タクシーの配車のためのシステム開発」
だったものが、同じタクシーでの、
「予約の受付」
として活用されるようになり、今では出前や、宅配に利用されるようになったというわけである。
配達形式じゃ、自転車である。
昔のてんやものの配達と言えば、バイクやスクーター、免許がなければ、自転車という感じだったものが、今は、
「駐車の問題」
などというのもあり、配達には、自転車が利用されることが多くなった。
実際に、ファストフードにいけば、
「いかにもアーバーイーツの配達員」
と思えるような人が、受付に行き、そこで番号を言っている。
たぶん、配達の依頼があった時点で、配達範囲の人間で、今空いている人を探し、その配達員にデータを流し、同じものを、それぞれのファーストフード店に同時に送信することで、配達員が来る前に、あらかじめ、用意しておくということだ。
保冷バッグの中に入れて、どんどん、該当のファストフード店に立ち寄っていく。そして、最後には、一人の会員のところに届けるというわけだ。
食料品の宅配が、
「種まき方式」
であれば、アーバーイーツなどは、
「摘み取り方式」
といってもいいだろう。
それもこれも、
「世界的なパンデミック」
が起こったことで、人気の商売になったのだった。
パンデミックが起こったのは、元々、某国の某市からであった。そこには以前から、アメリカなどの調査によって、
「胡散臭い都市だ」
というウワサがあった。
それが、実証された形になったわけだが、発生源がどうのというレベルではないほど、世界中がパニックになった。
今は少し落ち着いているように見えるが、また冬になると、どうなるか分からない。普通のウイルスであれば、
「免疫ができるから、一度罹れば、再発はしない」
ということになるのであろうが、このウイルスはそんなことはなかった。
「同じ人が、2度、3度と罹る」
あるいは、
「最大回数のワクチンを接種しているのに、罹ってしまった」
などという話も聞く。
もっとも、ワクチンというのは、
「罹った時に、重症化しにくいというだけで、罹らないようにするためのものではない」
というのが定説であり、
「確かに、罹りにくくなるのは事実だが、そこまで信憑性のあるものではない」
ということだ。
ワクチンに対してもそうだが、政府自体が、弱体化しているせいで、いいたいことが国民に伝わらないのかも知れない。
作品名:自転車事故と劇場型犯罪 作家名:森本晃次