悠々日和キャンピングカーの旅:⑨東北太平洋岸(茨城~岩手)
■2月26日(5日目):手賀沼 ⇒ 大洗(茨城県)
【この日の概要】 朝の「手賀沼」の岸辺を歩いた後は「利根川」を下り、偶然に立ち寄ったのは「佐原」。その小野川沿いの古い町並みが気に入り、小江戸の雰囲気を十分に味わった。利根川を渡った後は、過去に行ったことがある鹿島コンビナート地帯と鹿島神宮の横を走り抜け、鹿島灘に面したR15を北上。巨大な「カシマサッカースタジアム」に驚き、「鹿島灘海浜公園」から鹿島灘を眺めた。到着した大洗はガルパンの聖地「大洗(おおあらい)」、戦車は走っていなかった。
【この日のポイント】 生まれて初めて「コインランドリー」に入り、貼られていた説明書をしっかり読んで、洗濯ものをマシンに投入した。洗剤を持参したが、それは不要なことが分かった。
【本文】 目が覚めて、バンクベッドの小窓から見えた道の駅の駐車場の状況に驚いた。昨夜、パラモーター仲間が帰った時の駐車場は半分も埋まっていなかったが、今朝は満車になっていたのだ。
大型トラックの台数は数えるほどで、私以外のキャンピングカーはなく、殆どのクルマが乗用車だ。それらは、このあたりの地元のナンバーばかりで、一体、どういう人たちがここで車中泊しているのだろうか。ひょっとして夫婦喧嘩で自宅を出てきた夫? そんなことを想像した。
道の駅の北側に広がっている手賀沼の朝の景色を見ようと、手賀大橋の中ほどまで歩いていった。
この沼は東西に長く、そのほぼ中央に、この橋が南北に架かっている。そこから西側は沼の端まで見渡すことができたが、残念ながら今朝は曇っていたため、明瞭には見えなかった。沼の東側は曲がっていて、端までは見えなかったが、マップでは分からない奥深い広さがあるようだ。沼の周りの遊歩道には散歩している人達の姿が見えた。
散歩の後、パラモーター仲間が差し入れてくれたパンと持参した牛乳の軽い朝食を食べた。
実は、電子レンジで牛乳を温めている途中、レンジが止まった。サブバッテリーの充電残量が電子レンジの必要ワット数を下回ったためだろう。昨夜、FFヒーター(「ジル」の燃料の軽油を燃やす温風ファンヒーター)の使い過ぎが原因か。
「ジル」のエンジンを始動すれば、サブバッテリーが充電され、解決するはずだが、満車の朝の駐車場の中でのエンジンの始動は諦め、その結果、生温い牛乳で済ませた。
近頃のキャンピングカーでは、サブバッテリーの充電残量がメーターやデジタルで定量的に把握できるが、私の「ジル」は緑と赤のランプ点灯表示のため、定量的には分からない。緑ならば残量OK、赤はNG。その両方が点いている場合はまだ使用できるようだが、マニュアルにはその説明はなく、少々不安だ。
旅の中でのサブバッテリーは、走行時のオルタネーターによる発電や屋根に取り付けられたソーラーパネルで充電されるものの、走行距離が少ない場合はソーラーパネルが頼りだが、曇りや雨の日は期待できないのだろう。
そこで、ソーラーパネルの追加、ポータブル電源や発電機の搭載等が考えられるが、この旅が終わってからじっくりと考えることにした。さらに、バッテリーチェッカーも取り付けて、サブバッテリーの電圧や充電残量の定量的な可視化も進めることにしたい。
今日は利根川を下り、鹿島灘を北上する予定だ。
道の駅を後に、手賀大橋を渡り終えてから右折し、沼に沿って東に進むと直ぐに親水公園があり、出発してからまだ3分も経っていないが、立ち寄ることにした。
公園内の水際の遊歩道に出て少し散策していると、何やら沼の中に立っており、近付くと、どうも河童の像のようだ。手賀沼には多くの河童の伝説があり、それにちなんだ像のようだが、一体、何をしている像なのか、妙な形をしていた。
その遊歩道で沼を周回できるので、ウォーキングが趣味の私は沼を一周歩こうと思ったものの、周囲が19kmもあり、3時間以上も費やすことになるので諦めた。
手賀沼から東に流れ出る川はやがて利根川に合流している。その川沿いに走った後、利根川の右岸の土手の上のR356(利根水郷ライン)に入った。
左側の車窓風景は滔々と流れる利根川、右側は水田だ。走っても、走っても同じ風景が続く。利根川が育んだ大穀倉地帯なのだろう。
ここは河口の銚子からは70kmほど、それでも川幅は700〜800mもあり、河川敷はほんのわずかで川面が広い。私の地元の天竜川の下流域の川幅は約1kmだが、河川敷が広く野球場などが点在している。左右の河川敷の間の河原を川は蛇行して流れているため、この利根川の水量に驚いた。カヌーでゆったりと川下りはできそうだが、同じ景色が続く川下りになるのだろう。
私は一時期、カヌーで川下りをやっていた。山間の狭い川幅のくねくねと折れ曲がる川では、コーナーを曲がる度に異なる景色に出会うことができ、それが何とも楽しい瞬間だった。
ところで私は、テレビの旅番組をよく見る。
まだ見ぬ土地が番組に映し出されると、今後の「キャンピングカーの旅」の行先の候補として考えてしまう。一方で、これまでに訪れた場所が映し出されると、その時のことを思い出し、そのシーンに釘付けになってしまう。ところが、訪れた場所なのに見落とした場所があるならば、残念で悔しい。
この旅の後、その残念なことが正に起きてしまった。しかも、たいへん興味がある対象だったため、悔しさは2倍だった。
それは、NHKの番組「ニッポンぶらり鉄道旅」のJR成田線を旅する回の放送で、R356で通過した滑河(なめがわ)の駅から少し離れた観光牧場「成田ゆめ牧場」内に、一周500mの線路を走る軽便鉄道(一般的な鉄道よりも規格が簡便で安価に建設された鉄道であり、軌間(線路幅)の一般的な狭軌1,067mmに対し762mmしかない)のSLだった。
定年退職した会社の技術会の会報誌向けに執筆した記事のひとつに「軽便鉄道」がある。三重県の「三岐鉄道北勢線」の現役の電車、北海道遠軽町の元森林鉄道が同町の丸瀬布(まるせっぷ)の森林公園内でセカンドライフを送っている現役のSL「雨宮21号」、そして私の地元の廃線になった「駿遠線」を取材して記事を書いたことがある。
その勢いに任せ、地元の住民が廃線の「駿遠線」を復活する物語まで書いてしまった。復活した軽便鉄道の“SLとEVのハイブリット機関車”が地域の町おこしの起爆剤となり次第に鉄道事業が拡大し、住民税がゼロになるというあらすじだった。そこで、市長に物語を紹介したり、市議会で取り上げられたり、地元の図書館でその物語の小冊子を配布したりと、そのような後日談が幾つかあった。
そういうことから、以前にも増して、軽便鉄道への興味が増していたため、この「成田ゆめ牧場」に立ち寄らなかったことを非常に後悔した。
話を戻そう。利根川沿いに下ると、道の駅「発酵の郷こうざき」が見えてきた。
土手道路から少し下った駐車場には、3台のキャンピングカーがあちらこちらに停まっていた。それは“キャンピングカーあるある”のひとつではないかと、私は思っている。
キャンピングカー同士は何故、隣に駐車しないのか? そういう私も、駐車中のキャンピングカーの隣に停めたことはない。