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パンドラの殺人

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 動機は、やはり遺産相続に関わることであったが、それ以上に、義兄である清秀に、聡子は蹂躙されたのだ。
「血は争えないとはこのことだ」
 と、元々や進化の聡子を、悪魔に変えたのだった。
 それは、この家、柳沢家の血というものなのだろう……。

 こんな小説を書いて、新人賞に応募したが、なかなかうまくいくものではない。二次審査で落選してしまった。この作品の生みの親は、
「坂田吉助」
 という男性で、今は自費出版して、フリマなどで、細々と売っている。
「この話、結構簡単に思いついたんだよね。時代背景を戦後にしたのは、ちょうど近親相姦だったり、遺産相続関係の話を書きたいと思うと、こういう話を書いている作家先生を思い出し、俺も書いてみたくなったんだよね」
 ということであった。
 今の時代は、令和三年。時代設定から60年以上先の時代である。
 その間に、いろいろあったのだろう。この作家志望の坂田という男も、ウスウス、自分が昔、近親相姦を繰り返してきた一家の末裔であるということを、知らず知らずのうちに、自分の作品に籠めるのだった……。

                 (  完  )
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作品名:パンドラの殺人 作家名:森本晃次