色々な掌編集
家に着くとすぐにPCのスイッチを入れ、【メモリー・エディター】を立ち上げ、ヘルメット型の端末を装着した。
【メモリー・エディター】は自称発明家である叔父の自称最高傑作試作機である。叔父に被験者になってくれないかと言われた時に、面白そうなので引き受けたのだ。その頃平凡な毎日に物足りなさを感じていたので、即OKしたのだった。
画面には、雅充が思い出した紫陽花の画面がある。まだ色づいていない花を同じ画面の綺麗に咲き誇っている花に差し替えた。ちょっと迷ってから隣で花を見ている未央のスタイルを自分の好みのスタイルにして、ついでに着ている衣服の色を変えた。
「うんうん、綺麗だ!」独り言をいいながら、今度はケーキ屋を思い出す。実際に入った店を、直前に見た有名店に差し替えた。
土産物でも、買ってあげたフクロウの置物があまりに小さいので少し大きくした。
《保存しますか?》にYesのボタンを押す。
眠いのを我慢していてそれでも眠くなってストンと落ちる時の感覚があって、実際に数分間眠ってしまう。
嬉しいことがあった、満ち足りた気分で雅充は《保存に成功しました》の文字を見て、それから【メモリー・エディター】を終了した。