【訂正】飲み水のまじめな話(続・ひとり言115)
この頃の感覚では、水を買うのは、(美味しい水を楽しみたい)という動機でしかなかったように思います。
でもその後、いろんなメーカーからペットボトル入りの水が発売されるようになって、徐々に高級品ではなくなって来ました。
ところが、そこへ登場したのが『エビアン』でしょ。(元々あったんだとは思いますけど)
「ミネラルウォーターと言えば、これ」って程に有名なフレンチアルプスの湧き水で、ちょっとお高めでしたけど。
輸入品ですし、ミネラル豊富って謳い文句で、「世界のスーパーモデル達が、美と健康のためにご愛用」との噂。
値段が高くても、飲んでるとカッコいいみたいな雰囲気ありました。
実際に飲むと(あれ? この水あんまり美味しくない)
スポーツ選手がコマーシャルに出てた『ヴォルヴィック』や『コントレックス』って言うミネラルウォーターを試しても、むしろ不味い。
どのブランドもホームページを読むと、「健康にいい水とか、化粧水や美容液代わりに」ってアピールしているけど、そのボトルの水じゃなく、『普通の水』は人体に欠かせないってことを、(うまく利用した広告表現なんじゃないかな?)って気がする。
そうまでしてブランドイメージを作り出すと、広告費が高く付き、さらに価格に上乗せされてるだろうし、(結局、何のための水なんだろう?)って疑問に行き着いた。
僕の中で手頃な『六甲のおいしい水』最強説が浮上。他の日本のボトルドウォーターも試してみると、
『南アルプス天然水』→美味しい。『富士山の天然水』→美味しい。大手飲料メーカーが出すペットボトルの水も、全部美味しい。
これには不思議感が強くて、日本と外国の水は(味が根本的に違うな)と感じましたが、当時若かった僕はまだ海外渡航経験も少なく、日本以外の国の水事情について誤解があったのです。
そもそも海外では、水道水を飲むこと自体珍しい事です。これは今もそうですね。ホテルの水道でさえ飲めない場合が多い。
その国の水道の浄水レベルが低く、安全じゃないと言うのが一つ。後進国や発展途上国に多い理由です。
もう一つは、その国の土壌が石灰岩質だったり火山岩質が多いと、そこから湧き出す水にはミネラル(カルシウム、ナトリウムに鉄分やマグネシウム成分等)が豊富に溶け込んだいわゆる『硬水』で、「そのまま飲むと、逆にお腹を壊す可能性が高い」と言うから驚きです。
だから、他の地方からわざわざ『ミネラル分の少ない水』を持って来て飲む習慣が、ボトルドウォーターの始まりなんだそうです。
そうした水でも日本の水よりはるかにミネラルは多く、硬度が高い雑味が目立つ水なんですよ。
日本人は、それを『ミネラルウォーター』って呼んで、健康にいい栄養豊富な水だと誤解してしまったんですね。(ちょっとオーバートーク気味ですが、僕はそういう理解をしました)
それなら日本人が、わざわざ高い輸入品を買う必要ないじゃないですか。
日本の水は大体、全国どこでもミネラル分の少ない『軟水』ですから、そのまま飲んでもご飯を炊いても、料理の味も邪魔しにくいんですって。
ただ海外にも軟水はあります。アメリカの『クリスタルガイザー』は、日本の水と同じレベルの軟水なので、美味しく感じます。
因みに世界中で統一した基準はないので、ミネラルウォーターやボトルドウォーターと言う種別は、その国の基準によって違うっていう事です。
日本の水道水の安全性は世界トップレベルですし、近年新しい浄水システムもどんどん開発されてきています。
じゃ、(水道水そのままでいいじゃないか)ってことなんですけど、気になるのはやっぱり味ですよ。
塩素消毒された水ですので、多少塩素臭いです。これは否めません。
夏にはちょっとカビ臭いような味になることや、川の水っぽい臭いになることもあります。
それに、浄水場は完璧でも、家まで引かれた地下の水道管が、古く痛んで汚れてるってことも問題になっています。
また塩素では死なない『クリプトスポリジウム』と言う、毒性の高い原虫も水道水の中から報告されています。(まだ厚生省の対策指針である高度な濾過槽が無い浄水場も多く残ってるそうです)
しかも塩素を入れたことによる副産物が、『トリハロメタン類』です。発がん性が高く危険だと言う話ですが、種類によってはそうでもありません。それでも浄水場からの距離が遠いほど、塩素消毒薬はトリハロメタンへと化学変化していくそうですからイヤです。いやだ。絶対嫌!
更にダイオキシンなんかも混入してるかもって言われてるし。
それらを克服するには、各家庭で飲む直前に『浄水器』を付けるしかないんじゃないだろうか。
1990年代頃になると、家庭用浄水器ブームが来て、我が家にも高性能浄水器を取り付けました。
フィルター交換のコストを考えても、ペットボトルを買い続けるより経済的ですし。
その水がどれくらい美味しいかと言えば、ボトル売りの天然水に比べると際立ってる訳じゃなかったけど、性能レベルで言うと安心な水になってるんだそうです。
たまたま大手住宅メーカーの研修で、家庭用浄水器の性能についてのセミナーを受けてたので、僕は敢えて高級な機種を選んでいます。
フィルターで浄水した後に、内部に紫外線ランプを照射し続けて滅菌もできる製品です。
せっかく浄水しても、内部に溜め込んでるうちに、山で汲んで来た天然水のポリタンクみたいになってたら嫌ですから。
ここで余談ですが、そのセミナーのスライドで見た水道水の汚れについて、衝撃写真がいくつかありました。マンションなんかの浄化槽内にアマガエルが泳いでいたり、ネズミが落ちて死んでいたり、カラスの骨まで!
そんな状態は稀だろうって思いますけど、マンションメーカーは、このような事態も想定しているので、各家庭に水を送る穴を浄化槽の底には付けず、側面に配管を取り付けて、ヘドロがタンクの底に溜まる構造にしているそうです。そして数年に一度浄化槽の洗浄が行われます。その時の写真がスライドで紹介されていたんですよ。
つまり僕たちは、そんな水の上澄みを飲んでいるかもしれないってことだそうです。
作品名:【訂正】飲み水のまじめな話(続・ひとり言115) 作家名:亨利(ヘンリー)