【訂正】飲み水のまじめな話(続・ひとり言115)
またその時代、話題になってた家庭用の水道機器に、『アルカリイオン整水器』って言うのがありましたよね。
水道水をイオン分解し、酸性水とアルカリ水に分離して、酸性水は横のドレン(排水チューブ)から捨てていました。
酸性水は殺菌効果が高いので、歯医者さんで治療中に口内をすすぐ時に使う、ちょっと苦味を感じる水がそれです。
水道水からそのえぐみを取り除いたのがアルカリイオン水ってことなので、口当たりがまろやかで美味しい水になって当然。僕も美味しいと思います。
しかもその整水器は、医療器具として認定されていましたので、当時は浄水器より爆発的に売れていました。
ところが変な噂が出回ります。
医療器具と言う国の認定は誤認で、実際は健康に悪い水なんだとか・・・
これが本当かどうかは知りませんが、その取扱説明書には注意書きとして、「一日に飲む水の量に注意が必要」って書いてあって、「子供や妊娠中の方、お年寄りや病気治療中の方は飲んじゃダメ」って明記されていたんです。
これは僕も実際に読んだので間違いありません。
それでも粉ミルクをアルカリイオン水で作って、赤ちゃんに飲ませていた家庭も多かったんじゃないでしょうかね。
こんな水でも医療器具だと言われたら、(誰でも健康になれる)って誤解するのは当然です。
じゃ、何のための水だったんでしょうか? ブームは一瞬で去って行きました。
その次に登場したのが、『カルシウム整水器』でした。フィルターにサンゴや蛎殻の粉末を使って、カルシウムを添加できる整水器です。ご家庭で手軽にミネラルウォーターが作れます。
でもそれもすぐに、「飲み続けるとカルシウム分が体内で結石となりやすい」ことが報告され、闇に葬られました。
きっと飲み水に変な細工って必要ないんですよ。
だって昔から人間は自然の水を飲んできたじゃないですか。
なのに逆の観点から言うと、「毎日飲む水にこそ、もっと拘ろう」ってことになるらしい。
・・・てことを理由にして、販売業者が売りやすい製品を世に送り出す商法でもあるんだろうな。
海洋深層水ってのも出回ってるけど、深海の水を精製して、またまた「健康にいい水」って謳うけど、ミネラルが豊富って・・・またミネラル?
手を変え品を変え、同じ宣伝文句が通用する業界のようだ。
でも最近では、水素水や、シリカ水が話題になったりしていましたが、それらの医療効果どころか、信用のおける研究成果もあまり発表されていないそうなのに、宣伝文句だけ一人歩きしています。
唯一、炭酸水は健康被害の心配は少ないそうです。だからと言ってコーラやビールが健康にいいって話じゃないですよ。味付けしていない無色無臭の炭酸水の話ですから。
じゃ、本当の水は何? 『純水』?
純水って言えばピュアで、何も混ざりっけが無い、蒸留水のような水だと思うけど、それでも不純物は残ってる。
むしろある程度のミネラル分がないと、逆に味気ないそうです。
僕の事業部では、半導体技術を取り扱っていて、作業に『超純水』って言うのを使います。
限りなくH2Oに近付けた、水素と酸素だけで化学的に作る、不純物が全くない水のことです。
この『超純水』と言う名称には定義が色々あるようで、飲料水販売や整水器販売業者は、むしろ健康な水として説明しているようですが、僕の言ってる超純水はレベルが違います。
これくらい清浄な水で洗浄しないと、半導体製造時に清浄度が保てないんですけど、じゃあ、この水を飲んだらどうなるのか。
むしろあまりに純度が高すぎて、「この超純水の方に人体の成分が溶け出してしまうから飲むな」と半導体業界では注意喚起されています。
やはり飲料水を選ぶとすれば、「高性能な浄水器か、手頃な価格のボトルドウォーターが無難」だという結論です。
最近は、ウォーターサーバーも人気ですね。
20年くらい前から、アメリカに出張で行くと、どこのオフィスにも1ガロンの透明タンクを逆さに載せたサーバーが設置されてました。
冷水もお湯も待たずにカップに注げる優れものです。
そのうちに中国でも目にする機会が増えて、10年ほど前には日本でも家庭用のウォーターサーバーが普及し始めました。
若い夫婦は新築の家に必ず設置したがりますものね。
うちの事業部にも設置されていますが、それはとても便利です。紙コップのコストがバカになりませんが。
でもこのサーバーはリースなんですけど、もう3年くらい経ちます。
その間、1回も洗っていません。
自動洗浄機能付きのとかあるけど、通水してすすぐだけでしょ。
絶対に、湧き水のポリタンクみたいになってると思います。
これは何とかしなきゃな。
つづく
作品名:【訂正】飲み水のまじめな話(続・ひとり言115) 作家名:亨利(ヘンリー)