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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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続・おしゃべりさんのひとり言/やっぱりひとり言が止めらない

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その114 巫女になった神子ちゃん



 ♪ピンポンパンポ~ン♪
   ※おことわり※

かなりスピリチュアルなお話をします。これは誰に言っても鼻で笑われる話だと承知しています。
こんなこと、若い時なら面白がって話してたんですが、今となってはあまり進んで話すような機会はありません。
記憶のどこかに整理を付けて、奥にしまい込んでいたような思い出です。
話のどこかに大きな嘘や、間違い、誤解があるかもしれませんが、僕自身はそれを見抜けていません。今なお、まだ。
つまり、ノンフィクションです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「その人物を紹介してほしい」
社長さんから頼まれた。
「あ、いいですけど。今はすぐに連絡付くかどうか分からないんで探してみます」
建築関係の営業を勉強していた時、その取引先で30代の社長さんからの頼まれ事に、ちょっと困惑した。
と言うのも、つい先日この社長のお母さまが急逝され、あまりに突然の出来事に(社長に元気がない)というのを、人伝手の噂に聞いていたから。
その社長さんから紹介を依頼された人物は、神社で巫女をしている女性です。
この女性のある能力について、僕はそこの専務さんに世間話として喋ったことがあったので、それを社長さんが聞いて僕にお願いして来られたと言う訳だ。

その巫女さんとの出会いは、『成功塾』に通っていた時だった。
25歳になる直前頃、僕はボスと出会った。
ボスと表現するこの人物は、人生の大恩人。
当時銀行員だった僕を引き抜いてくれて、自らのビジネスの手伝いをさせてくれた。
そんな人材は僕だけじゃなく、あちこちから選りすぐりの若者が集められて来ていたんだ。
それを全部ボスが直接会って、日本中から呼んで来る。
将来を期待できる、バイタリティに溢れた個性的な人物ばかりだった。
後に僕は、ボスの個人秘書になったけど、他の皆もいろんな業界で活躍するようになって行った。
その中には、違法改造車を車検に通す専門技術者や、納税額を極端に減らす工夫をする税理士、氣功を操る整骨医、外交官の奥様、フランス軍外人部隊の元傭兵、ヘリコプターのアクロバットパイロットなど、特殊な仕事をしていた人も多かった。
(もちろん僕みたいな一般人がほとんどですよ。でもこれらの経歴の持ち主とも実際に知り合って、ユニークなエピソードを見聞きしてきました。それはまた別の機会にご紹介します)

そんなメンバーが協力し合って何をするのかと言うと、もちろんお金儲けに徹したビジネスだけど、基本は『面白い事』やってみよう。それでお金儲けできる『楽しい事』に挑戦しようって集まりだ。
毎週一回、火曜日の晩に、2~30人がボスのオフィスに集まって来ていた。それが『成功塾』。
ボス一族(ご家族で経営されていたビジネスグループ)の本業で活躍できる人材の育成の場でした。
たまたま僕は、そのオフィスまで30分圏内に住んでたので、毎週参加出来たけど、遠方の方たちは月に一回とか、年に数回しか参加できない。それでも日本中から、野心家たちが集まって来ていたんだ。
交流を深めていく中でお互いのビジネスのやり方を学び、手伝ったりしながら、成功者たちの考え方に触れ、特訓を受けてたようなもんで、その仲間たちとは業界の枠を超えて結束していた。
反対に途中で脱落すると、その後は交流が無くなってしまうってこともよくある。
その中の一人、20年ほど前から連絡が付かなくなって、今も行方不明の女性が一人いるんだ。
彼女の名前は、神子(ミコ)ちゃん。(読みだけ本名で、漢字は仮名にしておきます)僕より4つ歳下のおとなしい娘でした。
僕がこの仲間に加わってすぐくらいの時に、ほぼ同期として参加し始めた彼女は、人見知りが激しくて、あまり会話に参加して来なかったんです。
それでも20代前半の人材は少ないから、皆気にかけて、よく声をかけてあげていました。

夜にタクシーで彼女を送っていた時、僕はトンネルの中で左座席にいる神子ちゃんが、急に体に力を入れたのに気付いた。
「うん? 寒い?」
「ううん、違うん」
「何かあった?」
「・・・うん。今男の人に見られた」
僕は直感で霊的な事を言ってるんだと感じたけど、(唐突に何を言い出すんだ?)と思った。
座席中央に座ってた僕の彼女(後の妻の知子)が、
「大丈夫? また見えた?」
この頃僕は、管理栄養士免許と調理師やフグ処理師の資格まで持つ、交際中の知子をボスに紹介して、彼女には某企業の会長さんの食事係みたいなお手伝いさんとしての仕事をもらってたんで、知子もよく成功塾に顔を出していたんだ。
そこで人に対してものすごく面倒見がいい知子は、年齢が近いこともあってか神子ちゃんと仲良くなっていたんだけど、何か特別な秘密を共有しているようだった。
「何? 何が見えたん?」僕は気になって聞いた。
「・・・・・・」神子ちゃんは沈黙。知子はしらを切る。
トンネルで何か見えたって言えば、それは幽霊だと思うでしょ。
その時は、うやむやに話題を変えられて話は終わったんだけど。

ある程度仲良くなってくると、昔の経歴とかについても話をしますよね。
どの地方出身だとか、何高校卒業だとか。
当然僕も皆に経歴を公開していたし、それで僕と同じ大学の卒業生を紹介されたりして、ビジネスに幅を持たせる一助にもなってたんだけど、神子ちゃんの経歴に不審な点があることに気付いたんです。
高校は大阪の公立校を卒業して、今は21歳。
半年ほど前には、ボスの知り合いが経営する繊維問屋に就職して現在に至る。と言うもの。
(じゃ、高校卒業してからの2年ほどは、どこで何をしてたのかな?)って気になったんです。
そのことを聞いてみると、
「言えない」
「へ?(少年院にでも入ってたとか?)」
妙な雰囲気に変な想像しかできない。

僕がボスに認められていって、よく家に泊めてもらったり、何かと重宝がって使ってもらえるようになって来ると、周囲からは羨ましがられる。
いつしか僕の周りにも大勢が集まるようになって来た。
その中に卓球の日本代表経験を持つミスズちゃんがいて、ボスたちと夜な夜な卓球の練習をしたりってことがあった。そんな彼女と僕の仲間のトヨキチが結婚することになったんだ。
結婚式のニ次会を盛り上げようと成功塾の若手メンバーは、あれこれ企画してその話をしていた時、神子ちゃんもその仲間に加わってくれて、グループとしてかなり打ち解けて来たんです。
そして結婚式を直前に控えたトヨキチには、ある挑戦がありました。