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さよなら、カノン

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駐車している車両が残り少なくなったスーパーの駐車場
スーパーの看板照明も落とされ薄闇の中、パトカーの赤色灯だけが目立つ
閉じられたスーパー正面入口付近のベンチに浅く腰掛ける実穂子
実穂子の傍らに立ち無線機を手に情報交換している福住
閉鎖されたスーパー駐車場の出入口付近の道路脇にタクシーが停まる
タクシーから降りる正樹


モニターが動画を再生している
キリンの空気人形を積んだ軽トラックが駐車場を出ていく映像
道路とフェンスで隔てられた駐車場の隅で軽トラックを目で追うカノンが小さく映る
スーパー入口のベンチ前で正樹が泣き面で俯く実穂子を問い詰める
正樹の言葉に返答できずに涙をこぼす実穂子
離れて二人を見ていた福住が二人に近寄る

福住  「あの、ご主人様ですか」

正樹に身分証を提示する福住

”足高警察署 生活安全課 福住愛子” を確認する正樹

正樹  「どうも・・・。うちのが・・・(言葉が見つからない)」
福住  「お子さんは我々が必ず探しだしますから、奥様を・・・」

やり場のない怒りで拳を強く握る正樹
フェンスを背にしたカノンが大映しになるモニター


実穂子と正樹の自宅(吉川宅)
吉川夫妻の居宅は開放的な里山の傾斜地に隣家とは離れて建っている
古民家の外観を残しつつ使い勝手の良い現代風にリフォームされた2階建ての家屋である
前庭と駐車ロットを備えている
芝生の張られた前庭には手作りのブランコと“シロの家”と書かれた三角屋根の犬小屋
古い柿の木の隣にスチール製の物置小屋
山茶花の垣根越しに黒塗りの警察車両グロリアが停車している
リビングのソファに前かがみに座る正樹
ダイニングの椅子に浅く掛ける実穂子
実穂子は白毛の仔犬シロを膝に抱えてスマートフォンを見つめる
スマートフォンはケーブルでノートPCの入力端子に繋がれている
ノートPCはテーブルの陰に隠れるように座っている鑑識課員の膝の上である
テーブルの上には汗をかいた麦茶のグラス
吉川宅の様子を見にきた藤原が福住の進展なしの報告を聞いて玄関先で溜息をつく
扇状に首を振る扇風機が重く張り詰めた空気をかき混ぜるように送風し続けている
グラスの氷はほぼ溶けかけている
スーパーキナリヤの建物が見える田園地帯
田んぼや草むらを鑑識課員や警察官たちが捜索する
用水路や小川を丹念に捜索する警察官たち

作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA