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さよなら、カノン

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#10. 死のドライブ



ドラム式洗濯機の中で白っぽい洗濯物が重力に逆らって回っている
縁側のガラス戸を覆う遮光カーテンを開け放つ実穂子
フライパンの上でスクランブルエッグがいい具合に焼けている
コーヒーメーカーのポットから湯気が立ちのぼる
サンドウィッチ用のパンにスクランブルエッグをのせる実穂子
傍らのポータブルテレビから気象予報士の声

気象予報士「前線の影響で西から天気が崩れるでしょう。午後には各地で積乱雲が発生し、山沿いでは雷を伴った激しい雨になる見こみです」

正樹がジャケットを羽織りながら階段を降りてくる

正樹  「おはよう。お、いい匂いだな」

テーブルにはカノンがニコニコして座っている
小さく切ったサンドウィッチとオレンジジュースをカノンの前に置く実穂子

正樹  「カノン、おはよ」

サンドウィッチを頬張り口をもごもごさせるカノン
実穂子に近づく正樹

正樹  「(俯き加減で小声で)夕べは済まなかった」
実穂子 「(首を横に振り)あたしがいけなかったの。あたしのほうこそごめんなさい」

ぎこちない笑顔を交わす正樹と実穂子

正樹  「カノン、機嫌良さそうだな」

微笑む実穂子
ビジネスバッグを抱える正樹

実穂子 「食べていかないの?」
正樹  「ああ、きょうは早出なんだ。その分早く帰れる」

玄関で革靴を履く正樹

実穂子 「これ持って行って」

ラップに包んだサンドウィッチを正樹に手渡す実穂子

正樹  「お、ありがとう」

サンドウィッチをビジネスバッグにしまう正樹

正樹  「じゃ、行ってきます」
実穂子 「行ってらっしゃい」
正樹  「行ってくるよ、カノン。お土産買って帰るからな」

玄関で正樹を見送る実穂子
実穂子の表情から温かみが消える

実穂子 「(カノンに作り笑顔で)洗濯物干したらお出かけしようか」
カノン 「うん」

作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA