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さよなら、カノン

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#8. メイドのリュック



カノンとカノンを連れて横断歩道を渡る実穂子
公園に接した歩道でメイドカフェのコスチュームを着たふたりの女性がチラシを配っている

メイド 「ご新規の方このチラシでドリンク一杯無料です」

メイドのひとりは白い犬のぬいぐるみを縫いつけたようなリュックを背負っている
チラシを受け取る通行人
メイドが背負っているリュックに興味を示すカノン
実穂子の手を解いてメイドの傍に行くカノン
メイドのリュックを見あげるカノン

カノン 「シロ、シロ」

戸惑うメイドだがカノンの視線の先に気づく

メイド 「あ、これ。かわいいでしょ」

あしらおうとするメイド

実穂子 「カノン。こっちへ来なさい」

実穂子が手招きするがその場を離れないカノン

メイド 「わんこが見たいのね」

リュックを降ろすメイド
メイドが手に持っていたチラシを5~6枚落としてしまう
リュックをカノンに手渡しチラシを拾うメイド
リュックを抱いて実穂子の元に帰るカノン

カノン 「シロ、シロ」
実穂子 「シロじゃない」
カノン 「シロだよ」
実穂子 「あのお姉さんに返しなさい」
カノン 「やだ。連れて帰る」
実穂子 「返しなさい」
カノン 「やだ」
実穂子 「あんたのものじゃない。あのお姉さんのもの。返してきなさい」
カノン 「いやだ」

リュックを抱いて実穂子から逃げるように走り回るカノン
カノンが走るルートに先回りして立ちはだかる実穂子
カノンを捕まえてカノンと目線を合わせる実穂子

実穂子 「人のものを盗っちゃだめ。返しなさい」

カノンからリュックを奪おうとする実穂子
カノン 「やだ」

リュックを強く抱くカノン

実穂子 「ママの言うことがきけないの」

半泣きになりながらリュックを実穂子に差しだすカノン
次の瞬間リュックを力まかせに地面に叩きつけるカノン

実穂子 「カノン」

地面に叩きつけられたリュックをさらに踏みつけようとするカノン
実穂子の平手打ちがカノンの左頬に炸裂する
カノンの身体が弾け飛ぶ
地面に落ちたリュックを拾いあげる実穂子
周囲を見回す実穂子
通行人らはメイドたちも含め誰ひとり実穂子のほうを見ていない
彼らの視線はカノンに注がれている
風に舞うチラシを無邪気に追いかけるカノン
拾ったチラシを満面の笑みでメイドに届けるカノン


作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA