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さよなら、カノン

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カノンは矢島から開運グッズの説明を受けている
自分の身に起きた出来事をぽつりぽつりと話す実穂子
諸行無常の現世のことわりを簡潔に説法する慈翠
慈翠の口から発せられる言葉を聞き逃すまいと前のめりに聞き入る実穂子

慈翠  「人は見たいものしか見ません。見たくないものは見えないの。ハナから無かったみたいに人の意識に残らない。人ってそんなもの。世の中がそうなっているの」

カノンを呼び寄せ席を立つ実穂子

実穂子 「ありがとうございます」
慈翠  「普段はね、鎌倉の法院にいます。気が向いたら遊びにいらっしゃい」

カノンとカノンを連れてエレベーターに乗る実穂子
水晶玉が浮かぶ薄闇を見つめて慈翠が強い口調で言った言葉を思いだす実穂子

慈翠  『母親なら本当のわが子の姿がわかるはず』


作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA