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さよなら、カノン

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#2. 失踪事件



★★2年前★★

園児が全員ほぼ帰宅した浅葉幼稚園
幼稚園の入口で先生に手を繋がれて迎えを待つカノン
白い半袖の体操服を着て水色の半パンツを履き黄色い幼稚園帽子を被っている
黄色いサーブ(SAAB)が幼稚園前に停まる
車内から先生に軽く会釈し助手席のドアを開ける実穂子
開いたドアから助手席に這いのぼるカノン
窓に顔を近づけ幼稚園の先生に小さな手を振るカノン


スーパーキナリヤ(路面店)
広い平面駐車場を買い物客の車が頻繁に出入りする
駐車場の出入口で誘導員が満車の札を持って車両入退場の整理をしている
実穂子の運転する黄色いサーブが駐車場の枠に停まる
小ぎれいな身なりをした実穂子が運転席から降りる
助手席ではカノンが腰だけのシートベルトをして座っている
ベルトを外そうとするカノンにエコバッグをたぐり寄せた実穂子が呼びかける

実穂子 「カノン、カノン」

呼びかけられて一度実穂子に注意を向けるカノン

実穂子 「ママすぐに戻ってくるから」
カノン 「カノンも行く」
実穂子 「カノンは車で待ってなさい」

ぐずるカノン
停車しているサーブの前をカラフルなキッチンカーが通りすぎる

実穂子 「いい子にしていたら、とってもいいものあげるから」

渋々機嫌をなおすカノン

実穂子 「ママが戻るまで車の中にいるのよ。いい?」

頷いてじっとするカノン
ドアを閉める実穂子
スーパーのエントランスへと歩く実穂子
荷台に2体のキリンの空気人形を積んだ軽トラックがサーブの前を通りかかる
首を伸ばしてキリンの軽トラックの行方を追うカノン
シートベルトを手で押し広げてキリンを追うカノン
スーパーのエントランスで一度車を振り返りスーパーに中に消える実穂子
スーパーのテナントのケーキショップの列に並ぶ実穂子
先客の買い物に時間がかかり少しイラつく実穂子
キリンが見えなくなり助手席に沈むカノン
するとまたキリンが戻ってくる
喜々とするカノン
シートベルトを両手でグイと押し広げて潜り抜けるカノン
被っていた幼稚園帽子がシートベルトに引っ掛かり脱げる
助手席側のドアが少し開く
”よしかわかのん おたんじょうびおめでとう”
メッセージのついたホールケーキを箱に収めるケーキ屋店員
支払を済ませケーキを受け取る実穂子
スーパーのエントランスを出て駐車場に戻る実穂子
サーブの助手席側のドアが開いていることに気づく実穂子
血の気が引きケーキの入った紙バッグを地面に落とす実穂子
慌ててサーブに駆け寄る実穂子

実穂子 「カノン、カノン」

サーブ車内にカノンがいない
カノンの名を呼びながら車の周囲を探す実穂子
駐車場出入口の誘導員に駆け寄る実穂子

実穂子 「うちの子、見ませんでしたか」

誘導員に尋ねる実穂子

実穂子 「(手で地面から股下位の高さを作り)これくらいの女の子で」

首を横に振る誘導員
車の誘導を中断しさらに実穂子の話に耳を傾ける誘導員
スーパーの店内から店舗マネージャーが警備員A、Bを引き連れて実穂子の元に駆けつける
手帳を開いて実穂子から状況を聞き取るマネージャー
駐車場に並んだ車の間を捜索する警備員A
警備員Bを伴って店内に戻り買い物客の動きに注意を払いながらカノンを捜す実穂子
モニター機材が並ぶ警備室に立ち入るマネージャー
駐車場ではキリンを積んだ軽トラックが警備員Aの前を横切る

場内アナウンス「カノンちゃんとおっしゃる5歳の女の子をお母さまが・・・」

駐車場に戻り徐行する種々のタイプの車をやり過ごしながらカノンを探す実穂子

実穂子 「カノン、カノン」

次第に険しくなる実穂子の表情

作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA