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さよなら、カノン

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ロープウェイのゴンドラがランドマークタワーを横切る
スイートピーが咲く芝生広場をカンカン帽を被ったカノンと実穂子が手を繋いで歩く
大桟橋のデッキから海上を行き交う観光船を眺めるカノンと実穂子
横浜の港湾が見渡せるオープンカフェで軽食をとるカノンと実穂子
生クリーム付きのかき氷を食べるカノン
アイスティをストローで飲みながらカノンがかき氷と格闘するのを愛おしく見る実穂子
西に傾きかけた太陽の日差しが穏やかな東京湾の海面に照りかえりキラキラと輝く

実穂子 「カノン、ママとはぐれたこと憶えてる?」
カノン 「うん」
実穂子 「誰か知らない人に声かけられた?」
カノン 「ううん(首を横に振る)」
実穂子 「痛いこととかされなかった?」
カノン 「うん」
実穂子 「それで、どうしたの?」
カノン 「わかんない」
実穂子 「わかんないことないでしょ」
カノン 「わかんないの」

急に泣きそうな顔になるカノン

実穂子 「ごめん、ごめん。思いださせちゃったのね。ほら、食べて」

少なくなったかき氷をスプーンで掬ってカノンの口に運ぶ実穂子

実穂子 「パパにお土産買って帰りましょう」

カノンの表情に明るさが戻る

作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA