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さよなら、カノン

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宮田が運転するハイエースが吉川宅の前に停まる

正樹  「着いたぞ、カノン」

スライドドアがゆっくり開いてカノンがそろりと車から降りる
正樹の手はカノンの肩まわりに軽く添えられている

正樹  「(宮田に)ちょっとあがっていきませんか」
宮田  「いや、家族水入らずで」

宮田に”じゃあ”と言って車を降りる正樹
半開きの門扉を押し開けカノンと正樹が自宅の敷地に足を踏み入れる
ドアが全開になっている玄関扉の前に実穂子が立っている
眉間にしわを寄せカノンの動きを見る実穂子

カノン 「ママ!(実穂子に駆け寄る)」

大声を発してカノンを制止する実穂子

実穂子 「来ないで!」

声に圧倒されて立ちつくすカノン
笑顔が一瞬にして凍りつく正樹

正樹  「どうしたんだ? 実穂子」
実穂子 「来て」

正樹の腕を掴んで玄関に引き入れる実穂子

実穂子 「見えるでしょ、カノン」

ソファで寝転ぶカノンに”カノン”と呼びかける実穂子 
顔をあげて実穂子を見るカノン

実穂子 「(正樹に)見えたでしょ」

リビングルームに人の気配を感じない正樹

正樹  「何が?」
実穂子 「いるじゃない、カノンが」
正樹  「いないよ。だって・・・」

正樹をさらに家の中に引きこもうとする実穂子

正樹  「(実穂子の手を振り払い)いい加減にしてくれよ。カノンは、家に外にいる。僕が連れてきた」

門扉の傍でで半べそをかくカノンを指さす正樹
正樹が示した門扉の傍に立つカノンをあらためて見る実穂子
浅葉幼稚園の体操着を着て水色の半ズボンを履いたカノンが上目遣いで実穂子を見返す

実穂子 「(正樹に向かって)あれはカノンじゃない」

リビングのほうを振り返る実穂子
ソファから顔を出すカノンを見る実穂子
ふたりのカノンが見えることに気が動転する実穂子
気が遠のいて正樹の腕に倒れこむ実穂子

作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA