さよなら、カノン
深夜の高速道路を走行するハイエース
ハンドルを握る宮田
助手席で携帯電話から鳴る呼び出し音を聞き続ける正樹
宮田 「連絡つかないんですか」
正樹 「はい」
宮田 「もうお休みになってるんじゃないですか」
正樹 「いや、実穂子、カノンが見つかったことは知っていて、その上で警察に出向きたくないとか」
宮田 「どういうことですか」
正樹 「さあ、僕にも・・・」
宮田 「奥さん、あれほど娘さんのこと心配なさってたのに」
正樹 「警察もそのあと、実穂子に連絡つかなくなったそうで」
再度通話を試みる正樹
白み始めた明け方の空
足高警察署の車寄せに停車するハイエース
車を降りる正樹
宮田 「俺、車で待ってます」
宮田に軽く頭を下げ警察署の夜間通用口に消える正樹
福住の案内で内階段を3階まで駆けあがる正樹
医務室の前廊下で待ち受ける藤原
藤原 「吉川さん」
正樹 「藤原さん、ありがとうございます」
藤原 「血液型の照合と簡易DNA検査をとりあえず終えました。しかし実の親が確認するのが一番です」
医務室の扉を押し開ける藤原
カーテンの陰に診察ベッド
カーテンを手で押し広げベッドで眠っているカノンと対面する正樹
眠っているカノンの小さな手を取り包みこむ正樹
ベッドの脇に跪きカノンの顔を覗きこむ正樹
カノンの寝顔を潤んだ眼で愛おしく見つめる正樹
正樹 「カノン・・・おかえり・・・」