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さよなら、カノン

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足高署医務室
診察ベッドに寝かされているカノン
診察用に簡易な着衣に着替えさせられているカノン
カノンが着ていたものはジッパー式のビニール袋に入れられてある
作業台の上では血液分析機が稼働している
カノンの髪についた土埃や枯れ草を慎重にトレイに落としながらカノンに呼びかける女医

女医  「カノンちゃん、聞こえる?」
カノン 「ママ・・・。ママ・・・」

うなされるように不規則に”ママ”と繰り返すカノン


カノンをソファに寝かせブランケットを掛ける実穂子
眼を閉じて眠りに落ちるカノン
カノンの寝顔を愛おしく見つめる実穂子
カノンの清拭に使ったバケツを片付けようキッチンの流し台に向かう実穂子
ダイニングテーブルの上でスマートフォンの画面が明滅する
バケツを流し台に置いてスマートフォンを見る実穂子
福住からの着信
スマートフォンを手に取り通話アイコンを押す実穂子

実穂子 「吉川です」
福住  「実穂子さん? ああよかった」
実穂子 「福住さん、あたし・・・(嗚咽する)」
福住  「まだカノンちゃんと確定したわけじゃないけど、とりあえずよかった」
実穂子 「確定とか・・・。(口元に笑みを浮かべて)カノンです」
福住  「私もそう思いますけど、実穂子さん、署のほうにいまから来れますか」
実穂子 「署のほうに? どうして?」
福住  「お母さんに見ていただかないと」
実穂子 「えっ?」
福住  「えって、カノンちゃんが見つかったかもしれないんです」
実穂子 「ありがとうございます。見つかりました」
福住  「いいえまだカノンちゃんかもしれないという段階。親御さんに最終判断してもらわないと」
実穂子 「判断とか、なにを仰っているのか・・・。もし手続き的なことでしたら、明日にもうかがいます」
福住  「実穂子さん、よく聞いてください。カノンちゃんらしき子どもを足高署で預かっているんです。うちの職員が龍神口のバス署で発見して、いま医師による検分を・・・」
実穂子 「あの、福住さん。カノンはいまうちにいます」
福住  「えっ? カノンちゃんが吉川さん宅に?」
実穂子 「はい、あたしが龍神口のバス停で発見しました」
福住  「実穂子さんが発見した?」
実穂子 「いま、休んでいます」
福住  「あの、実穂子さん。整理しましょう。とにかく話は会ってから・・・。何なら迎えにいきます」
実穂子 「すみません。今夜は出たくないので・・・」
福住  「実穂子さん」

スマートフォンの通話を切り溜息をつく実穂子
スマートフォンが鳴動し福住からの再びの着信を知らせる
スマートフォンの電源をオフにする実穂子


作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA