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さよなら、カノン

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吉川宅
風に舞った桜の花びらが吉川宅の庭に舞い落ちる
撮影機材がリビングに運ばれる
撮影スタッフらが録音機器、照明、カメラ等を設営する

正樹  「地元にしか放映されないから」
実穂子 「でも、あたし・・・」
正樹  「カノンを見つけるためだ。頑張ってくれ」

躊躇するが正樹に促される実穂子
実穂子のカーディガンにピンマイクをつけるTV局スタッフ
壁につるされた浅葉小学校の制服の横でカメラの前に立つ実穂子


テレビ画面(夕方のニュースバラエティー番組)
番組MC「ではここから特集です。スーパーの駐車場から忽然と姿を消した吉川カノンちゃん。警察の懸命の捜索にも関わらず発見できないまま時がたち、2年目の夏を迎えようとしています。
番組ではこの度カノンちゃんのお母さま吉川実穂子さんに直接お話を伺うことができました。もしかしたらこの番組をカノンちゃん本人がどこかで見ているかもしれません。テレビを通じてカノンちゃんに直接語りかけていただきます」


足高署会議室
壁掛けテレビがニュースバラエティー番組を放映している
画面に映る実穂子のバストショット
藤原、青木、福住と鑑識課員がテレビ画面を見つめている
会議テーブルの上に簡易に設えられた4台の黒電話
ハンカチを両手で握りしめた実穂子が深く頭を下げる

番組MC「情報をお持ちの方、当夜何かを目撃された方、間違っていていもかまいません。ぜひ情報を警察署ホットラインんお寄せください。失踪事件ファイルでした」

疲れを隠せない実穂子の物憂げな顔が切り取られその画像がSNSに拡散する


夕刻の駅前広場
”捜しています”ビラの入ったティッシュを通行人に配る実穂子
いつもより通行人の視線が気になる実穂子
品性のある老人が柔和な表情で実穂子に近づく

老人  「お辛いですね。頑張ってください」

実穂子に握手を求める老人
差しだした実穂子の手に四つ折りのビラを握らせる老人
笑顔で立ち去る老人
手渡されたビラを開く実穂子
白紙の裏面に大きく墨字で書かれた言葉を見て胸がつぶれる実穂子
”母親の責任”
ビラを貼った立て看板を脇に抱え車に戻る実穂子
駐車してあるサーブのフロントガラスワイパーにビラが挟みこまれている
裏面に朱書きで
”母親が犯人”
ビラを手早く抜きとり周囲を見回す実穂子
実穂子の眼に恐怖の色が滲む


吉川宅
カーテンを閉め切ったリビングルーム
壁に吊るされている制服の下で壁にもたれかかっている実穂子
玄関チャイムが鳴る
無視する実穂子

配達員 「書留郵便でーす」

無視し続ける実穂子

配達員 「吉川さーん」

諦めて玄関から立ち去る配達員


作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA