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オオサカタロウ
オオサカタロウ
novelistID. 20912
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Dollface

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「この人、猫アレルギーじゃない? それでもミルクくれるなんて、マジ神」
「なんで、シンディ目線なんだよ」
「いい人かも。候補ハウスとか言ってごめんって感じ」
 ミルクを飲んでいるシンディの目線のまま三十分が経過して記録が終わり、愛梨はベッドから立ち上がった。
「ありがと、これめっちゃいいアイデア」
「シンディは町に可愛がられてる。安心したか?」
 俺が言うと、愛梨はうなずいて部屋から出て行った。俺はドアを閉めるのと同時に、全身に走った寒気に肩をすくめた。愛梨が電話で話していた間、俺だけが見ていた部分。咄嗟に愛梨の気を逸らせたが、もしかしたら勘違いかもしれない。俺はパソコンチェアに座り直した。後回しにはできない。確認するなら、今だ。自分にそう言い聞かせて、動画をもう一度再生した。違和感を覚えた箇所をコマ送りにしていると、勘違いかもしれないという希望はあっけなく砕かれた。奥に置かれた大きな冷蔵庫のようなケース。そこから、人間の手のようなものが突き出している。俺は一時停止にして、手らしき物体をじっと見つめた。見間違いじゃなかった。そのケースが映るのはわずか数秒で、愛梨は見ていない。
 どうすすればいい? もしかしたら、映画とかの小道具かもしれない。それに、猫の首輪とはいえ、人の家に勝手に入り込んで撮った動画だ。警察に見せたらこっちが捕まったりしないだろうか? 俺がディスプレイを眺めたまま固まっていると、ノックもなくドアが開き、自分の部屋のように入ってきた愛梨が言った。
「ごめん、スマホ忘れた」
 ディスプレイを見た愛梨は、俺がつい十秒前にやったのと同じように目を細めた。
「待って、これ何?」
「これだけじゃ、分からない」
 俺が言うと、愛梨は画面にくぎ付けになって、俺の真横で目を大きく見開いた。
「いや、分かるって。これ、手でしょ? ケースに押し込まれてるじゃん。え、何? 映画?」
 発想が飛びつく先は兄妹らしく、全く同じだった。愛梨はそこで止まっている俺の思考をすっ飛ばして、ベッドの上に置きっぱなしになったスマートフォンを手に取った。
「通報だ通報」
「待てって、不法侵入してんのはこっちだぞ」
「猫が不法侵入したことになるわけないし。シンディがわたしたちの指示でやってるんなら、別だけどさ」
 そう言って、愛梨はスマートフォンを耳に当てながら俺にウィンクした。
作品名:Dollface 作家名:オオサカタロウ