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風俗の果て

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 その頃は、やっとインターネットも普及してきた頃で、風俗店でも、ホームページを作っていたりしたので、事前に、どんな子がいるかを暈しが入っていることがほとんどだが、ある程度は分かったので、店を決めるには、そんなに難しくはなかった。
 昔であれば、店頭でなければ確認ができなかったり、実際に現地に行って、無料案内所なるところで、話をして、自分の予算や雰囲気の合う子を説明し、
「それならば」
 ということで、店の人に後は任せるということが多かった。
 今でも、無料案内所は、しっかりと機能してはいるが、どこまで安心して任せられるかも不透明。下手をすれば、店と提携していて、ロクでもない店に連れていかれて、外れの女の子を押し付けられることもある。そういう意味で、今までマサムネは、無料案内所を利用したことはなかった。
 彼の性格からして、
「フリーは危ない」
 ということは、経験済みだった。
 昔一度、飲み会の帰りに、ムラムラ来たことがあったので、その余勢を買って思わずフリーで飛び込んだが、
「金を捨てたようなものだ」
 としか思えなかった。
 それを思い出すと、嫌な思いしか浮かんでこないのだ。
 あれは、2回目だっただろうか? 最初があまりにもセンセーショナルで、ハッキリと覚えていないほどセンセーショナルだったこともあって、その日、本当はいくつもりもなかったのだが、ふと、風俗街に立ち寄ったのだ。
 もちろん、予約など入れているわけではない。行った店も、最初のお店、さすがに新規で別の店というのも勇気がいった。
 ちょうど、休日が重なり、連休中だったこともあって、客は盛況だった。待合室にも数人人がいて、前に来た時には一人いただけだったことを思うと、
「まあ、分かってはいただ」
 と思いながら、
「すぐに入れなかったら、このまま帰ろう」
 と思って、受付に行ってみた。
 もっとも、そのまま帰ろうと思ったのは、受付にいくまでで、受付に行くと、すでに身体は、興奮状態にあり、
「このまま、抜かずに帰るのは、却って身体に悪い」
 と思ったのだ。
 幸いにも、
「今すぐに行ける子が、ちょうど一人おりまして」
 と言われ、二つ返事で、
「じゃあ、その子で」
 と答えていた。
 二つ返事というのは大げさだが、写真を見る前から、答えは決まっていたといってもいいだろう。
 少しお姉さんという雰囲気のパネル写真だったが、
「まあ、まだ、童貞を卒業しただけなので、お姉さん系の方がいいかな?」
 と感じた。
 しかし、最初の女の子が、結構かわいかったのだが、その割に、完全にマウントを取られたことを思うと、一抹の不安はあった。ただ、最初の女の子が悪かったというわけではないのが、その後証明されることになったのだ。
 まず、お店側の、
「すぐ行けます」
 という言葉の根拠はどこにあるというのか、待合室で待つこと、20分。
「店員の言葉を信じた俺がバカだったのか?」
 と感じるほど、20分という時間は中途半端だったのだ。
「さすがにそろそろ」
 と思った時間がちょうど20分、いきなりの突入で我慢できる待機時間だったといってもいいだろう。
 さすがに、受付のあの雰囲気の中で、回れ右というのは、無理があった、下半身がムズムズする中で、何もせずに帰るのは辛いというものだ。
「せめて、パネル写真でも」
 と思うだろう。
 しかし、そう思ってしまったが最後、すでに、自分がそれだけでは収まらないことを示していたのだった。
 最初、5人はいた待合室内、一人ずつ案内されていっているのを見ると、自分の興奮も高鳴ってくる。
 しかし、逆の思いもあった。
「ここで待っている連中は、自分よりも、ランクの上の女性に相手をしてもらっているのではないか?」
 という思いである。
 いわゆる、
「早い者勝ち」
 というやつで、
 そんな人たちが、どんどん待合室から出ていく。その横顔を見ていると、どこか安心感と、期待に胸溢れているようで、少し紅潮して見えるのは、気のせいだろうか?
「俺の番の時には、次に来た連中が、俺の顔を見ながら、同じことを感じるんだろうな」
 と思ったが、それはそれで、楽しみでもあった。
 ただ、
「待合室から出る時、まだ待機の人間の後ろからの視線を感じるだろうか?」
 とも思った。
 すでに気持ちは先のことに向かっているはず、これから出会う女の子に対しての期待と不安で渦巻いているとの時の心境は、まだ、経験の浅かった自分には、少し分からない感情だと思うのだった。
 約3分間隔くらいで、一人、また一人と抜けていく。計算でいけば、15分くらいは仕方がないと思っていた。
 そして、いよいよ、自分の前の人が抜けていくと、自分一人だけが残った。
「あれ?」
 と感じたのは、そう、自分がここに来てから、誰も部屋に入っていないということだった。
「あれだけ人が待っていたのに」
 と思い、最初は待合室がほぼ満席と感じたほどだったので、一人取り残されると、
「この部屋、結構広かったんだ」
 と感じさせられた。
 しかも、誰もいないと、今度は新鮮な気持ちになってきた。まるで、今来て、待合室には誰もいないというそんな雰囲気だったのだ。
 待合室での最後の5分間、たった一人の5分間は、複雑な気持ちだった。
 前述のように、新鮮な気持ちもあるが、たった一人でいると、さらに口吻が増してきて、今度は限界を感じ始める。
 待たされていることに自分の我慢がどこまでできるかという思いなのだが、それは、下半身の状態や、自分の体調にもよるだろう。
 待っている時間、5分だったが、その間を、長いと感じるか、短いと感じるかということだが、正直、前半と後半で、印象が違った。
 前半は、結構早く過ぎていて、
「このドキドキ感を余韻にすればいい。だから、この時間もまんざらでもないな」
 と思っていた時間があったかと思うと、途中から、今度は身体のムズムズが激しきなり、今度こそ、限界っぽい感覚がこみあげてくるのを感じたのだ。
「あんまり待たされると、今度は部屋に入って肝心な時間が短く感じさせられるのも嫌だよな」
 と思ったのだ。
 ここで、延べにして、約20分の待ち時間。自分の気持ちを最高潮に持っていくために使う時間だが、実際の本番は、お部屋に入ってからのことである。
 その時間は決まっている。待ち時間に左右されることなく、自分で決めた時間だ。
 それだけに。待ち時間が長いと、実際の時間が、
「えっ? あっという間だったじゃないか?」
 と思うに違いない。
 待合室で、5分くらいの待ち時間であれば、そこまでは気にしない。こういうお店で、10分の待ち時間は当たり前というもの、予約を入れていても、店員は、
「受付の時間、女の子の準備等がございますから、10分くらい前にお越しください」
 と言われる。
 実際に10分前に来て、受付を済ませ、待合室に入ると、こちらも、それなりに、準備がいる。
 まずは、トイレを済ませておくことと、爪が伸びていないかという、最終チェック。もちろん、ここに来るまでに済ませてはいるが、待合室に入ると少し気分が変わってくるのだ。
作品名:風俗の果て 作家名:森本晃次