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夥しい数のコウモリ

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 ただ、奥さんは睡眠薬を服用していた。その上での服毒だった。
 男の方は毒を飲んでいるだけで、無理心中と言えなくもない状況だった。
 ただ、このために、長治の研究は、永遠に日の目を見ることはなかった。
「本来であれば、今世紀最大の発明と言われることだったのだろうが、実に残念だ」
 と、他の研究家から、死んでから、長治は評価された。
 それだけ、今まで長治は表に出ることはなかった。つまり、本当のコウモリのようだったのである。
「コウモリ屋敷」
 と称された長治の部屋からは、その奥に続く洞窟で、おびただしい数のコウモリが発見されたのだった。
 そして、その近くにいるのは、交通事故で死んだ子供の父親、諜報のプロとして長治を探っていた男だった。
 しかも、それだけではない。
 その発見されたコウモリというのは、
「夥しい数の、コウモリの死体」
 だったのだった……。

                 (  完  )
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作品名:夥しい数のコウモリ 作家名:森本晃次