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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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陶器ウキウキ(続・おしゃべりさんのひとり言 108)

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その新婚旅行の後、日本での披露宴では、それを引き出物として採用したかったんですけど、手荷物では大量に持ち帰れないし、当時の日本では購入することも出来ませんでした。
だからと言うわけではないんですが、引き出物には『コーニング』の白いお皿を選びました。
サリブミ(ジェンガラ)とは違って、超高温で焼成された現代的なお皿で、ガラスセラミック製です。
その材質は昔、スペースシャトルの外壁タイルと同じと言われた、無茶苦茶硬い陶器です。磁器と言うべきかも。
コンクリートの床に落としても割れないとの評判を聞いて、(割れないなら結婚にピッタリ)と思ったのかどうかは忘れましたが、多分そんな理由だったんでしょう。
でも配った後の評判はイマイチで、直径30センチあるものの、真っ白でなんの装飾もなく超シンプル。
よく言えば「和洋中どんな料理にも使える」、でも見方によっては「ヤマ〇キ春のパン祭り」です。
値段は高くても、その価値が伝わり難いものでした。
ところが四半世紀経った今でも、使ってくれている家庭が多くて、親戚や古い友達の家でお呼ばれすると、
「あ、これ、僕の引き出物だ」って言うと、「ああ、そうだったかしら・・・」
ま、こんな感じです。orz

他には、関西出身なので清水焼や信楽焼に触れることが多いですが、そんな産地で陶器祭りが開催されると、見物に行ったついでに買っちゃいますけど、あまり拘って使ってるものはありません。
旅行の際、萩焼(山口県)の窯元をいくつか見学して、散々迷った挙句に買ったビールジョッキは今、牛乳専用になってますけど。
そして知り合いのある陶芸家が、うちの娘が生まれた時の記念にと、子供用の小さいお茶碗と、三分割されたおかず用のプレートを焼いてプレゼントしてくださいました。
グレー地に茶色い筆で、子供の笑顔やおもちゃが線描きされた素朴な食器です。
18年経った今でも、娘はそれでご飯を食べています。

じゃ、自分で焼いた陶器は持ってないのかって言うと、まったく無いんです。
それが普通かもしれませんけど、何度かそのチャンスはあったのに、どういう訳か一枚も持ってません。
やってみたことだけはあるんですよ。
陶芸体験に参加して作った茶碗は、焼きの工程で割れて捨てられました。
小学校の時に土器作りに挑戦して、やっぱり割れました。
自分の顔を粘土で造形して焼成したタイルは、小学校卒業記念のモニュメントの土台に貼り付けられてたんですけど、今じゃ跡形もなく学校から撤去されてしまっています。
素焼きのお皿に絵付けして、即席で焼いてもらうお土産も、どこかの行楽地でやった記憶があるけど、小学生だった僕はなぜかワニを描きました。今となっちゃ、どこ行ったか分からないし。こういったものは残っていて欲しかったのに。

でも娘が小さかった時に、同じように皿の絵付けをしているお土産屋さんを見つけたので、同じ体験をさせたくて娘にやらせてみることにしました。
「好きな絵を描いていいよ」
そのことを思い出したので探してみると、そのお皿は大切に残してたんですよ。
娘は僕に似て絵が得意で、今じゃパソコンを駆使してプロ顔負けのイラストを描くようになったけど、その小皿はまだ色鉛筆もろくに使えない頃の作品です。
日常的に使ったり、飾ったりしてなかったけど、久しぶりに手に取ると、陶器ってのはやっぱり温かみがありますよね。

では最後に、改めてそのお宝を見てよう。

直径15センチの円形で、口辺(くちべり)は穏やかにせり上がり、
胴は浅く、高台(こうだい)は無い。
見込みは地のままの白い背景に、カラー絵の具で親子3人と飼い犬の笑顔が表現され、
表には釉薬もたっぷりと光沢ある仕上がり。
銘には絵付け師がサイン代わりにしていた、王冠とイニシャルを配したハートに羽の生えたマークが、生き生きと描かれている。
正に、この世に二つとない逸品です。

果たして鑑定やいかに???
(一、十、百、千、万・・・・・・冗談ですけど、扉絵のお皿がそれです)

フフフ。当時の娘の手のひらの描き方が独特で笑っちゃいますけど、僕が子供時代に描いたワニの皿よりきれいな焼き上がりで、日常使いしても割れなさそう。
でもそんなことはしません。

その小さな絵皿は、我が家の家宝にします。
いや、国宝にします。


     つづく