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端数報告7

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おれは町を眺めながらそんなふうに思っていたが、8月が終わると同時くらいに熱帯夜の日々が終わって急に夜が涼しくなり、次の日また隣の部屋から聞こえるニュースが、
 
「不思議です。きのう突然患者の数が激減し、前と同じになりました。ウイルスは何を企んでいるのでしょう」
 
と言うことになる。だから熱帯夜が終わったからだろ!と壁に向かっておれは怒鳴りたかったけれど、隣の人にそんなことを言ったところでしょうがない。
 
それにこれでバカどももさすがに気づくんじゃねえかな、と思った。それは〈波〉でなくクーラー病ということにだ。だって熱帯夜の日々が始まるのと同時に始まり終わると同時に止んでるんだから。いくらなんでも気づくだろうしそこからすべてガセだった、という結論がすぐにも導き出されるんじゃないのか。
 
と考えてそれに期待したのだけれど、しかし……という話については、次の稿に書くことにして今回は終わり。
 
作品名:端数報告7 作家名:島田信之