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端数報告7

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それは鮭が川に戻って卵を産むのと同じです


 
前回は2020年3〜4月の話でしたが、次はその後の5〜6月。ヨーロッパでの強毒型の流行は治まり、致死率は落ちて患者は激減。死者もたいして出なくなったということになった。
 
 
 
   「だったらもう収束と見なしていいんじゃねーのか?」
 
 
 
とおれは思ったのだがアメリカやイランやインドといったところで死者がまだ出ているから禍は終わっていないという。しかしおれはそう聞いても、
 
 
 
   「いや、そんなとこ毎年たくさん普通に死んでるんじゃねーのか?」
 
 
 
という気しかしなかった。世界には平均寿命が40歳そこそこの場所がいくらでもあるはずだ。と言うか半分がそうであり、そこでは風邪の肺炎で毎年多くの人間がもともと死んでるもんじゃないのか。
 
という疑問を感じたのだ。テレビが言うのはおれにはその程度の数としか思えぬもので、日本だって昭和の中頃くらいまで燃料と言えば薪といった、
 
画像:相原の家 アフェリエイト:宇宙戦艦ヤマト
 
こんなところがまだ結構あったりして、そこでは多くの人々が風邪で死んでいたんじゃないのか。
 
と思う。その後に寿命が伸びるのは医学の進歩など以上に、冷蔵庫や洗濯機、水洗トイレにサッシ窓、電気ゴタツにガス湯沸かし器といったものの力であって、肺炎ではあまり死ななくなったけれどもしかし癌で死ぬようになった。
 
ということなんじゃないのかと。スペイン風邪で日本では20万が死んだというのも、当時はもともと10万くらい普通に死んでいたものが2倍死んだというとこじゃないのか。
 
画像:この世界の片隅に洗濯 アフェリエイト:この世界の片隅に
 
と思った。何しろ当時はこんなふうに、真冬だろうとタライで洗濯するしかなく、ゴム手袋もないのが普通であったはずだ。今のように栄養のある食べ物がいつでも食える時代でもない。この主人公が風邪を引いたら、この若さで肺炎になって死ぬ確率が決して低くないはずじゃないのか。
 
と思う。実際この映画の補綴版にも風邪を引いて肺炎で死ぬキャラクターが出てくるが、昔と今では人の生活が全然違う。そして世界には昔の日本と変わらない場所がいくらでもある。イランなんて『運動靴と赤い金魚』って映画を見れば、
 
画像:運動靴と赤い金魚路地
アフェリエイト:運動靴と赤い金魚
 
こうだ。お兄ちゃんが妹の靴を失くしてしまい、一足しかない自分の靴を代わりばんこにふたりで履くが、路地の真ん中に下水を流す溝がある。
 
これはイランが下のマンガに描かれるアフリカの、
 
画像:エリア88バンバラ独立なんてしない方がよかったのかも アフェリエイト:エリア889巻
 
これと似たような国ってことだが、お兄ちゃんの靴は大きく脱げてしまって妹はドブに落としてしまうのだ。流れはどんどん速くなり、小さな女の子の足では追いつけなくなってしまう。
 
画像:運動靴と赤い金魚ドブ
アフェリエイト:運動靴と赤い金魚
 
さあどうなる?という話はこの稿と関係ないので触れないとして、こういう国をちょっとタチの悪い風邪が襲えば多くの死者が出るのは当然のことじゃないのか。てゆーかテレビが言う程度の数は、毎年普通に死んでいるのと違うか。
 
それに水増しもしてんじゃねえのか。という疑問すらおれは感じたが、しかしテレビはイランで死んでいる数が日本に〈波〉が迫っていてその時数千万人が死に、そこからワッと世界に広まり人類絶滅も有り得るほどの〈禍〉が始まる証拠だと言う。それは日本で起こることがもう決まっているわけなのだ。
 
そういう法則があることになってる。ウイルスはそんな習性を持つものであり、まずどこかで発生してから世界各国の人間を少しずつ殺すことで力を蓄え頃合いを見て一気に日本を攻めてくるのだ。コロナは意志を持たないが、そんな習性を持つのだから意志を持つのと同じことだ。人類抹殺のための〈禍〉は日本でしか起こせない。それは日本が世界の中心だからであり、コロナはそれを習性によって知るために鮭が故郷の川に戻ってくるように日本を目指して来るものなのです。
 
だからコロナが日本に来ようとするのは、鮭が卵を産むのと同じなんですね、と。テレビで学者が言う話はおれにはこんなふうにしか聞こえないのだが、昭和の戦争指導者達もまるで同じ考え方で《敵が日本を狙っている》ものとして、「日本は神国なのだから必ず勝つ」と唱える者だけ〈専門家〉ということにしてラジオその他で世に語らせた。
 
日本だけが特に愚かなわけではなくて世界のどこでもいつも人間はそうなのだ。インドなんかも、
 
画像:伊藤計劃虐殺機関カースト制度 アフェリエイト:虐殺器官
 
こういう国で、その〈洗濯カースト〉ってのが、
 
画像:スラムドッグミリオネア洗濯カースト
アフェリエイト:スラムドッグミリオネア
 
こんなことになる国なわけだろ。当然、風邪の肺炎で毎年多くの〈スラムドッグ〉が死んるもんなのでないのか。
 
おれはそう思うんだけどしかしテレビはイランにせよインドにせよ死者数だけを挙げつらって、
「コロナはシャケと同じだからイランからインド、インドシナと人を殺して次第に勢力を強めながら日本目指して進むわけです」
というような報道をする。実は中国がそのために開発していた兵器だという話もあります。それをアメリカのCIAが解き放ったという話もあります。
 
画像:M:i:III私達なぜ中国にいるの アフェリエイト:ミッションインポッシブル3
 
という、映画の『ミッション:インポッシブル』まんまな話までし始める。イーサン・ハントが遂行不可能な作戦をやっぱり失敗に終わらせちゃった、とでも言うのか。トランプがそれを言うのはトランプだからまあわかるような気もするけれど、しかしアメリカで人が死ぬのもおれに言わせりゃアメリカが、
 
画像:エリア88妻は五年前に死んだ アフェリエイト:エリア887巻
 
こんな国でもあるからじゃないのか。このキャラクターの話というのは、
 
画像:画像:エリア88ニューヨークのスラムで生まれ アフェリエイト:エリア887巻
 
こんなふうに始まって、なんだかんだあって妻を亡くすわけだけど、その詳細を知りたい人は本を買うなりして読むこと。
 
アメリカにはスラムがあって貧しい者が貧しい暮らしをしてたりするし、麻薬が蔓延していたりもする。そしてコロナより前に、エイズが広がっていたりもする。
 
画像:フレディー・マーキュリーの死因 アフェリエイト:ボヘミアンラプソディー
 
麻薬やエイズに身を蝕まれていれば、病気に対する抵抗力は失われる。貧困による栄養不足や不衛生な環境が加われば、風邪を引いて肺炎になる確率は当然高まる。アメリカで人が死んでると言うが、その多くはそれじゃないのか。トランプがやるデタラメのせいで、死ななくていい余計な死者が出ることにさえなってんじゃないのか。
 
特に黒人などが。トランプのやつが去年までは黒人が風邪で何万死んだと聞いても、
「それがなんだ。どうせならひとり残らず死ねばいいのに」
と言っていたのが今は、
「それは世界の終わりなのか! 世界の終わりということなんだな!」
作品名:端数報告7 作家名:島田信之