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端数報告7

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実社会ではテレビが言う話と違ってまわりにいる気配もないなら


 
今回がこの書き直しの最終回です。2022年の初め、ニュースが「今度こそ大爆発」と叫んでそれまでを大きく超えるコロナの感染拡大を叫びました。
 
前年暮れには東京で十数人にまで落ち込んでいた日の確認数が急激に増加。五千を超え六千を超え、七千、八千人と増えてみるみる一万を突破。
 
〈専門家〉らは例によって自分はこれを予期していたと言い、けれども「これからどうなるのか」という問いに対しては返事がムニャムニャ。
 
「えー、オミクロン株についてはですね、まだどういうものなのかわかっていない部分が多く……」
 
だとか、その昔に常温核融合のガセに飛びついた学者そっくりの調子で言うだけ。「ですがこれが最大級の〈波〉であることだけは間違いありません」と。
 
そんなことを口で言うだけならば専門家は要らない。『シン・ゴジラ』で市川実日子が演じた学者が「恐竜よりも大きな生物は自立できないというのは間違いです」と言うのは麻原彰晃が「私の下で修行すれば超能力が身に付く」と言っているのと同じことで、コロナについて学者がテレビで話したすべてはこれと同じだ。そんなのちゃんと聞くまでもなく目つきやものの言い方でそうとわからないようではあなたはララァやアムロになれない。
 
おれはもちろん報道をカケラたりとも信じなかった。念のためにカメラを持って町の図書館に行ってみるが、前にも見せた、
 
画像:最後の記事41763件
 
21年12月末のこの記事を最後にもう〈陽性率と検査数〉のデータ掲載はないとわかった。当然だろな。8月のあれと同じかそれ以上の数を確認と言いながら、正しいデータを公開できるわけがない。
 
夏のトリックを見破ったおれにはそれがはっきりとわかるのだ。最後の記事で週に東京で41763、日に六千人ほどを12月半ばに検査してたのを公にしているけれど、年が明けてもこの態勢を変えてないなら「今日は六千を確認」と言った時に100%。
 
東京都民の全員が感染してる計算になるが、その日にニュースはそうは言わずに「六千ですよ!」と言うだけで、実数としてどれだけいるかの推定などはしなかった。
 
そして七千を超え八千を超える。検査数が六千のまま変わらないならこれは有り得ん。わかりますね。そしてとうとう一万を超え、さらに2月に二万を超える。
 
それでもテレビは「遂に二万を! 遂に二万をををを!」と言うだけだ。日に六千を検査してるのが変わらないなら東京都には都の人口の3.3倍、四千万のコロナに感染した人間がいる計算になるのだが。
 
そんな話はまったく出ない。ではそうでなく検査数を増やしたのなら一体何人に増やしたのか。
 
10万にでも増やしたうちの20パーだから二万なのか。それとも二万検査して全員妖精だったのか。
 
そんな話もまったく出ない。しかしこのどれかであり、どれだとしても話がまるでおかしいでしょう。納得のいく説明をしてもらわんと納得できん、と言うべきでないかと思うが、この論理に間違いをあなたは見つけられますか。
 
それにこの頃、
 
 
 
   「その〈確認された人間〉てのはどこにいるんだ?」
 
 
 
という疑問を感じた方はいませんか。2020年中には毎日いくつも、「俳優の○○さんに陽性が認められました」「歌手の○○さんにも陽性が」と芸能人が検査を受けて妖精になった話がニュースで報じられていた。その頃の東京の確認数と言えば日に250くらいなのに。
 
が、その後にそんな話は滅多に聞かぬようになる。たまに聞いても「誰だそれ? 知らねえな」という感じの無名に近い存在だったり。
 
していませんかねえ皆さん。「今日は250」くらいの頃に有名な人がたくさん挙げられてたのに、なんでその後に聞かなくなるの。芸能人やスポーツ選手といったのはその後もずっと検査され続けているんだよねえ。なのにろくに聞かなくなって、22年の「今日は一万」「今日は二万」という日にぜんぜん話を聞かない。
 
そんなの変だと思いませんかあ? 芸能人は明らかにスケープゴートにされてきている。一度検査で妖精にされたら二度と芸能活動できない。
 
再検査で〈陰性〉と出れば問題ないはずなのに、それを許さん者がいるのだ。しかしどうして〈山羊〉にされた人間は20年に集中し、その後滅多に出なくなるのか。
 
「今日は一万」「今日は二万」と言っていた22年1〜2月。東京だけで百万が確認された2ヵ月間にてんで話を聞かないのか。
 
変でしょう。でも真相はわかりますよね。20年にはずっと5パー前後の割でコロナに感染している者がいたから、検査をすれば20人にひとりの割で生贄にされる者が出た。
 
それがその後に出なくなるのは、感染者などいないからだ。実は0.4%。千に4人の割くらいのまま増えてない。日に六千を検査して24人くらいしか妖精を見つけていないのに、「今日は七千! 八千! 一万! 二万人!」とやっていた。
 
だからそのようなことになる。次に、
 
画像:22年最初の2ヵ月
 
こんなものを見せるが、2年かけて全国で173万だった累計確認数が3月初めに507万。それまでの2倍に近い334万人がたった2ヵ月に妖精と確認されたのがわかりますね。
 
この2ヵ月になんと36人にひとりの割で、日本で検査を受けて「あなたは妖精です」と言われた者がいる計算になる。東京だけなら15にひとりくらいかな。でもだがしかし、この時にあなたのまわりでそんなようすがあった感じがあります?
 
たとえばあなたが大きな会社に勤めているとします。36にひとりもの割で確認された者がいるなら、
「○○課の○○さんが検査で確認されたって」
「○○さんもそうだってよ」
「○○支社で感染者が何十人も出たって話だ」
「取引先の○○さんとこも何百人も出てるとか」
「ライバル企業の○○さんも大変らしいね」
なんて話題で職場が持ち切りになりそうなものだが、当時にあなたの身のまわりでこんな話を誰かがするのを聞いたことがありますか。
 
全然ないんじゃないですか。2020年にはチラホラと聞いた話がその後まったく聞かなくなってる。この2ヵ月に聞いていないしその後もてんで話を聞かない。
 
のじゃないですか。それどころか「コロナの検査を受けたことがありますか」と訊いてみて、
「こないだ受けたが俺は陰性だった」
なんて言ったりする者もないし、誰に訊いても、
「受けたことない。検査なんてそもそもどこでやってるんだ」
という調子だったりしたんじゃないですか。
 
としたら、おかしいと思いませんか。ニュースが「確認された者がいる」と言うのはテレビの中だけの話。実社会に生きていて毎日大勢の人と会うあなたのまわりにそれがいるらしき気配もないのは。
 
ね。わかるでしょ。嘘だからです。記事ではこの2ヵ月間に日本で5500人が死に、3月1日にも238人が死んだことになっているけどそれも嘘。もちろんその後の死者数も嘘。
 
作品名:端数報告7 作家名:島田信之