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 上半身を起こして、おれもシャツを脱いだ。宥人は掌で口もとを覆っていたが、おれを見上げる視線には熱が籠もっていた。
「なに?」
「……腹筋、すごいなって」
 宥人の視線を追って自分の腹を見下ろした。腹部に手を触れてみる。醜く肥えているわけではないが、アスリート並みといえるほどでもない。
「筋肉好きなの?」
「ちがう……善くんのだから……」
 思わず呻いた。まだ一言も好きだといわれていないという事実を忘れてしまいそうになる。
「触る?」
 囁くと、宥人は頷いた。ゆっくりと手を伸ばし、おれの腹部に触れた。筋肉のすじに沿って指先を這わせ、感触を確かめるように掌でそっと圧迫する。おれの呼吸に合わせて筋肉が振動し、宥人の掌を圧し返した。
 宥人はおれの腹に顔を近づけ、実験動物を観察する研究者のようにじっと見つめていたが、そのうちに両手で撫で回し、頬擦りし、唇を圧しつけ、舐めはじめた。はじめは遠慮がちだったがすぐに夢中になって舌を這わせる。
 熱中している宥人を見下ろしながら、おれはベルトをはずし、前を寛げた。宥人は誘われるように顔を下降させた。ボクサーパンツの布ごしにおれの性器に触れ、腹筋にしたのとおなじようにした。器用に性器を引き出し、躊躇なく口に含む。湿った粘膜に包みこまれ、おれは小さく呻いた。
 さっきまでの戸惑いが嘘のように巧みな舌づかいと手の動きだった。触られることにはあれほど不慣れだったのに、奉仕の側に立ったらまるで娼婦のような技巧を見せる。ギャップに煽られるいっぽうで、宥人を教育したであろう過去の男たちへの苛立ちが甦った。
 性器を頬張り、顔を前後させる宥人を見下ろし、唇を噛んだ。せり上がってくる感覚。予感していたよりも早い。
「ごめん。ちょっと……やばいかも」
 髪に指を差し入れ、頭を撫でると、宥人が視線を上げる。かなり扇情的な光景だった。おれは喉を動かし、口のなかに溜まった唾液を飲みこんだ。
 おれの反応に呼応するかのように、宥人の頭が烈しく動く。なるべく無理を強いることのないように注意しながら、おれは宥人の頭を揺すった。
 絶頂はすぐに訪れた。両手で宥人の頭をつかみ、口のなかに放った。宥人は当然のように受け止め、最後の一滴まで零すまいとするように唇を窄めて吸い上げた。勢いを失った先端を舌の表面で舐め回す。
「宥人さん、もういいよ」
 頭を撫でると、不安げな顔で見上げてくる。
「よくなかった?」
「すっげえよかった」
 最大限に強調していうと、宥人は安堵したように表情を綻ばせた。笑顔はいかにも純真で、数秒前の姿からは想像もできない。
「おれにもやらして」
 宥人の体を裏返し、ベッドの上に膝をつかせる。下まですべて脱がせ、自分も全裸になる。女にやるようにすればいいのだろうが、すくなからず緊張していた。宥人と較べて無知で経験がない。不安はあったが、悟られないように宥人の背中にキスした。そのまま舌を下降させ、臀の割れ目に到達する。
 宥人の臀部は滑らかで傷ひとつないうえ、ほとんど無毛だった。脚もそうだからおそらく処理しているのだろう。考えてみれば、泊まっていくときも剃刀やシェーバーをつかっているところを見たことがない。髭も脱毛しているのかもしれない。
 実際に見て触れてみると、髪も肌も張りがあってしなやかだ。体質だけが理由ではないはずだ。毎日欠かさずケアしていないとこうはならない。宥人が実年齢よりかなり若く見える要因だろう。
 ひとによっては女々しいと思われるかもしれないが、内面だけでなく外見も磨こうとひたむきに努力する姿がおれには好ましく思えた。
「そこはいいから……」
 臀部に舌を這わせるおれに、俯せの姿勢で宥人が懇願するようにいう。
「汚いし……」
「汚くないよ」
 両側の肉を圧し広げ、露になった部分を眺めながら、おれはいった。
「宥人さんの体、全部きれい」
 宥人が体を震わせると、その部分も細かく収縮する。
「おれに触られたくてきれいにしてんのかなーつって」
 冗談めかしていうと、宥人が首まで赤くなった。おれの視線から逃れようと枕に顔を埋める。
「マジかよ。そんな反応されると調子乗っちゃうんだけど……」
 興奮を抑えながら、痛みのないよう慎重に唾液を塗りこみ、指先を差し入れる。
「ん……」
 一瞬圧し返すような反応を見せたが、宥人の呼吸に合わせて指を進めると、きゅっと飲みこまれる。当然だが、かなり狭い。
「痛い?」
 尋ねると、首を振った。あまり信用はできない。注意深く様子を見ながら、左手を前に回し、宥人の性器を握りこんだ。前と後ろを同時に刺激すると、宥人の声が濡れてきた。
「気持ちいい?」
「うん……今のとこがよかった」
「どこ?」
「上の……あ、そこ……そこがやば……」
 間接を曲げて壁の内側を指の腹で擦ると、宥人の腰が跳ねる。
「指増やすよ……」
 おれの声も上擦っていた。宥人の反応を見ているうちにまた興奮してきたようだ。
 2本の指を付け根まで圧しこむと、宥人が声を上げた。呼吸が荒くなり、指を締めつける間隔が短くなっている。
「だめ……善くん……」
「いきそう? いっていいよ」
 左手のなかの宥人自身が大きく脈打つのを感じた。同時に後ろの刺激を強くする。
 宥人が枕のなかで叫ぶように圧しころした声を上げ、腰が跳ね上がった。その瞬間、内壁をまさぐっていた指がきつく締めつけられた。
「だいじょうぶ?」
 宥人の首の後ろにキスして、皮膚の熱さに驚いた。宥人は答えられずに背中を上下させて必死に呼吸している。
「宥人さん、ごめん。きつかった?」
「ちがう……」
 耳の裏側に唇をあてると、宥人が弱々しく振り返った。
「こんなことされたのはじめてで……」
 これまでの男は指や舌をつかうことなくいきなり挿入していたのだろうか。男同士の性行為については詳しくないが、本来の用途でない場所をそんなふうに乱暴に扱って体に支障はないのか。もしくは宥人が自分で準備をしていたのかもしれない。いずれにしても、身勝手すぎる。
 考えても無意味なことだと理解してはいたが、それでも、自分が宥人の最初の男になりたかったと臍を噛んだ。悔しさが表情に出ていたのだろう。宥人が訝しげに見つめてくる。
「善くん……」
「ごめん。おれもちょっとやばくなってきた」
 宥人の体液を掌で掬い取り、臀部に捻じこむ。汗と体液が混じりあって粘度の高い音を立てた。
「いれていい?」
「うん……」
 顎を持ち上げると、首を伸ばしておれのキスを受け容れる。宥人の手が首や頭を行き来して、さらに昂らせる。
「後ろからのほうが楽? 顔見ながらだと恥ずかしい?」
 キスしながら尋ねると、目を閉じていた宥人が躊躇いながら目を開けた。
「恥ずかしいけど、顔見ながらしたい」
「わかった」
 再び宥人を仰向けにする。腰の下にクッションを敷いて、臀を上げさせた。宥人は素直に協力し、自ら腿の裏に手をあてて脚を広げた。
作品名:EXIT 作家名:新尾林月