マイナスとマイナスの交わり
「マイナスのマイナス」
だったのかも知れない。
「マイナスのマイナスであっても、整数部分は、掛け算されるので、プラスになった時は、さらに相乗効果が得られる」
と思うようになっていた。
みゆきの考えは、いまだネガティブであるが、本人すら気づいていない三枝のポジティブさは、みゆきの心を覆いかぶし、トラウマを払いのけてくれることになるのではないだろうか?
二人の間でこれから、どんな会話や付き合い方ができるのか分からないが、これは、
「破局したわけではないが、まるで破局から始まる恋のようなものではないか?」
といえるのではないだろうか?
「マイナスのマイナス」
それは、交わることのない平行線を、一度切れそうになった部分から繋ぎ止めたことで、赤い糸に匹敵するものになるであろうと、誰ともなく感じていたのだった……。
( 完 )
28
作品名:マイナスとマイナスの交わり 作家名:森本晃次