入らなければ出られない
と思ったのだろう。
だから、姉のかすみに入り込んで、かすみを使って、マサハルと一緒にいたいと思ったのだろう。
だが、それが無理をしていることになり、結局マサハルを追い詰めたのだと、なぎさは感じた。
だから、
「マサハルを救うにはどうすればいいか?」
今度はそのことをいかに考えればいいのか、なぎさは考えるようになった。
守護霊としての役目をしながらそれを考えている。
すっかり、落ち着きを取り戻したマサハルは、自分が何をしようとしたのか覚えていあい。
冷静さを取り戻したマサハルは、再度、かすみを愛することを考えたが。もうかすみには、その気力はなかった。
今度は、典子に入り込んだ、なぎさは、持ち前の小説の執筆力を使って、類似の話を書いた。
それがベストセラーになったのだが、作者はどこの誰なのか、その後も分からないまま発行され続けたのだった。
内容は、今回のかすみとマサハルの間の出来事をプロローグとした、大スペクタクルと言ってもいいような話だったのだ。
( 完 )
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作品名:入らなければ出られない 作家名:森本晃次