満月鏡
ある夜。彼女からメールに《仕事の帰り道。白い月が見えてね。猫が寝そべっているみたいで、アナタも疲れているのねって呟いてみたの》とあった。
そうだ。お互いに見られるものが 距離を埋めてくれるのだ。
それから、僕は メールに月のことも書くことにした。
《月が雲の帽子を被っている》
《そうなの?夜空曇天で見えません》
そんな天気の違いも度々あったが、それもネタに楽しかった。
《今日のボランティア活動で 隣区の公園へ応援。張り切ったつもりはないが 足場が滑って池にハマった。パン… 下着まで濡れたが 鯉は入らなくて良かった》
《カメはいなかったの?(笑) いい男になったでしょうね》
《いい恥さらしになったよ(笑)》
そんな笑い話もできるようになった。
そして、それ以来 僕には不可思議なことが起こるようだ。
夢かもしれない。でも 眠っているようには思えない。
そうこんなことも・・・