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満月鏡

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あの日は・・・もう2年? いや今年で3年になるのか・・・
立秋を過ぎた8月の夕方。日はまだ明るく時間だけが夕刻だった。
僕は、会社の休暇中であり、朝から公園の植え込みを手入れしていた。
しかし、昼間の厳しい暑さを避け 風の変わった夕方に再び続きをしていた。
「こんにちは」と声がした。
「あ、こんにちは」僕は、そう言ってから顔を上げてその人を見た。
知らない人だった。
「あ、こんにちは。こちらの方ですか?」
「とは違うのですが、ちょっと。」
ちょっと? おそらく近所のお宅に訪ねて来られた親戚の人だろうと 少しばかり愛想笑いしてみせた。
「あのぉ。おひとりでされているのですか?」
「あ、いえ、いつもは管理主任がいたりするのですが、なかなか来られなかったり、それに今の時期は 皆仕事休みですからね」
「大変ですね。でも とってもいい公園」

視線だけで見渡せる公園を その女性は、ぐるっと回って見渡した。

作品名:満月鏡 作家名:甜茶