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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 後編

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「あたしは自分が加害者だってことを、忘れない…許してもらえなくても、美捺と、美捺の家族や友達に、ずっと、償いをしたいの…。先生が言ってくれたみたいに、自分自身を諦めたくないの。しっかり生きていきたいから…」

美捺の家族に面会を申し入れても、家には入れてもらえないし、電話をしても切られてしまうのだけれど、それは当然だと思う。だけど、いつか謝りたい。自分の気持ちのためじゃなくて、美捺のために。

「郁ちゃんも、あたしにそう思わせてくれた…弓を引くと、自分自身に向き合えるって言ってたでしょ?あたしももう、自分に向き合うことから逃げたくないの。郁ちゃんのこと忘れない」
「そっか…あたしも、恵麻ちゃんのこと忘れない」

最後に、この子の笑った顔が見られてよかった。心からそう思った。


「あたし、自分は大人で、何でも思い通りにできるって思ってた…いまはそれはとても恥ずかしくて、愚かだったなって思う」

紫暮に向き直って、恵麻は言った。

「いろいろなことを想像して、ちゃんと考えられる大人になりたい…。こんな風に、着飾って自分を強く見せるのは、もうやめたいから」

本当の自分自身から目をそらさず、自分のしたことから目をそらさずに。紫暮はそう、と静かに頷くと、真正面から恵麻を見た。

「化粧もおしゃれも大変結構。でも、大人がどうして短いスカートは駄目って言うのかを、考えることも大事。それが大人になるってことだよ」

大きな手が、ぽんと頭にのせられた。

「たくさん勉強して、大人の女になりなさい」

駄目だ、また泣いてしまう。まっすぐに、恵麻を見てくれている穏やかな瞳。

「自分のことを大事にして。それでちゃんと、幸せになりなさい」

恵麻は幾度も頷いた。

先生にもらった言葉を支えにして頑張るから。だから。だから一つだけ。