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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 前編

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放課後。おのおのが部活に出て行く中、隣の席で帰り支度をしている恵麻に声をかける。今日一日、彼女を見て思ったのは、クラスメイトとの関わりを極力避けているということだ。拒絶、というほど強くないが、やんわりと誘いを断り、一人でいたいという空気を出していた。なんとなくその雰囲気を察してか、始めは興味をもって彼女に関わろうとしていた女子らも、今はもう声を掛けない。

「あの…岡崎さん。部活、決めた?」
「え。ああ、まだ…」

部活動には必ず入らなければいけないのだ。彼女もそれは知っているようで、迷っているのだと答えた。

「そっか。まだ転校してきたばっかりだし、バタバタしてるもんね」

うん、と彼女は静かに項垂れた。

「あたしでよかったら、そのー…相談乗るから、いつでも声掛けてね!」
「うん…ありがとう」

それきり会話は切り上げたい、というように、彼女は郁から目を逸らした。

(うーん…だめかあ)

郁としては、天候初日で心細いかもと思ってのことだが、彼女には大きなお世話なのかもしれない。少し寂しい気持ちで鞄に教科書を詰める。恵麻は帰ろうとしない。まるでクラスメイトらがいなくなるのを待っているかのようだった。一人になりたいとでも言うように。郁も何となくその場を去り難い。クラスメイトの殆どが部活にいってしまった。

「郁、途中まで一緒にいこ~」
「一之瀬、今日の主将会議、俺も一緒に出ないとだから、部誌渡しといていい?」

親友の美波と瑞が近づいてくる。