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あみのさん

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山を登って行った先にある湖、そこで自由行動になった時、亜美乃はスケッチブックをもって一人で山に入って行った。三郎は興味をひかれ、そばに行き、「見せて」とスケッッチブックを覗こうとしたら、意外に強い口調でダメと言われた。
「ほら、原さんが一人で寂しそうだよ」と湖のボート乗り場の方を指さした。

亜美乃は一番年下の原洋子と三郎を意識してくっつけようとしているようでもあった。
三郎は、いつまでも別れた女に未練がましくつきまとうのもイヤなので、ボート乗り場に向かった。
「原さん。ボート乗る?」
三郎が声をかけると、原はほっとしたような顔をして微笑んだ。可愛いという感じが亜美乃とは全く違って、コロッとした体型だった。性格も亜美乃と違っておっとりしている。多分何の不自由もなく育ってきたのだろうという感じだった。
「よかったあ、みんなどっかに行っちゃうんだもの、どうしようかと思った。あ、一緒に乗りましょうか」

洋子は心からそう思っているようだった。七人で来て二人ずつでペアになったら一人あまってしまう。亜美乃はそこまで計算して一人でスケッチブックを持って林の中にいたのだろうか。


作品名:あみのさん 作家名:伊達梁川