小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
根岸 郁男
根岸 郁男
novelistID. 64631
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

夏海、休日のアクシデント

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

男性A「自業自得って言うもんですよ、姐さん」
  金髪の髪を書き分けて言う男性A。
男性B「独り占めしようって思うからああなるんすよ。命取らなかっただけでも感謝してほしいっす」
  男性B、弥生に話し掛けた際に、夏海の聞き耳を立てるような仕草が気になり、
男性B「ラウンジに飲みにいきませんか姐さん。なんかこの辺に泥棒猫がいそうな感じで
 …」
  男性Bが席を立つとAも弥生も腰をあげる。
夏海「泥棒猫って私たちの事?でも、なんか怪しいなぁ」
雄太「それより食事にしようぜ、(時計を見て)もう時間だし」

〇 夏海達の部屋
  雄太、目の前のステーキを頬張り、ビールを飲んでいる。
  豪華なごちそうのお膳が二人の前に並んでいる。
  夏海は物思いに耽りながらご飯を食べている。
雄太「夏海、どうしたん、ぼーっとして。食欲ないんかい]
  夏海、ご飯を口に運びながら
夏海「ねぇ、雄太君さ、救急車で運ばれた男性のこと、なんか気にならない?」
雄太「どこが」
夏海「何故、脇腹から血がでているのか、なぜ、あの場所にいたのか、あの男性に何があったのか」
雄太「そんなの警察にまかしときゃいいのさ、せっかくの三連休だ。休みを満喫しなくちゃ」
夏海「(じっと考えながら)私、どうしても気になるの」
雄太「私立探偵にでもなったら。あ、そのお肉食べないの、食べないんだったら僕が食べてあげるよ」
  雄太、夏海のお膳の上のステーキを箸でつまむ。
夏海「ね、私を見て」
雄太「なんだよ、キスの催促ですか。あわてなくともこの後、念入りに可愛がってあげますって」
夏海「もう全くスケベなんだから。そんなんじゃないの。私が如何にこの問題に真剣か見てって言ってるの」
雄太「ぼくには夏海が美人にしか見えない」
夏海「(照れ笑いながら)何言ってるの、全く」
  雄太、にこにこしている。
夏海「(少し考えて)ね、食事が終わったらラウンジへ飲みに行かない?」
雄太「おっ、それいいね」
夏海「雄太君、私ね、あのマーチミニスターの車とロビーにいた三人がなにかこの事件に
 関係があるような気がするの」
雄太「また、始まったね、アガサクリステー」
夏海「それは推理作家、あえて言うならミス・マーブルかな」
雄太「だれ、その人」

〇 病院 集中治療室前 廊下
  廊下を行ったり来たり、廊下に設置されている長椅子に腰掛けたり、立ったりと、落
  ち着かない様子の刑事。
  
〇 集中治療室 中
  如月が酸素マスクを付け点滴をしている。
  ベッド脇の心電図モニターが緩やかな波形を描いている。
  看護師が心電図モニターを見ている。
  看護師が傍らの机の上で検査結果を書いている医師のそばに行き
看護師「先生、脈拍は落ち着きましたが、まだ血圧のほうが落ち着きません」
  医師、手を休め、
医師「そうか、話してくるか」

〇 病院 集中治療室 廊下
  医師、ドアから出てくる。
  刑事、振りむき近づく。
医師「手術は先ほど終了しました。ですが予断は許せません。何しろ出血多量で、ここへ
 来るまでに生きていたこと自体が不思議なくらいです」
刑事「そんなに悪いんですか」
  医師、頷く、
医師「鋭利な刃物で腹部を何度も刺され、膵臓まで到達し血まみれでした」
刑事「誰かに刺されたんですね。」
医師「患者の身元は判りましたか。連絡を取りたいのですが」
刑事「(首を横に振り)彼の所持品からは身元確認ができるものが発見されていなくて…」

〇 集中治療室 中
  酸素マスクの如月の顔。
  
〇 山岳地帯の道路 (如月の回想)
  急な斜面を疾走している、赤い車 マーチミニスター。
  カーブを曲がり切ったところで急ブレーキがかかり急停止。
  後部ドアが突然開き、男性が車内から足で蹴とばされ道路に転落する。
  路上に放り出される男性、如月。
  如月路上で蹲っている。その苦痛に歪んだ顔。印象深い顎髭。
  
〇 病院 集中治療室 中
  酸素マスクの如月、顔から汗が出ている。
  心電図モニターの脈拍、血圧が異常に上がり、警戒音が鳴る。
  傍らにいた看護師、異常音に気づき如月のベッドに近づく。
  
〇 ホテル ラウンジ 室内
  扉を開けて入ってくる夏海と雄太。
  室内には程よい照明と落ち付いた雰囲気のBGMが流れている。
  カウンターにはホテルの宿泊客らしき男女がお酒を酌み交わしている。
  夏海と雄太はカウンターの前を素通りして四角形に区切られたボックス席の方に移動
  していく。
  金髪髪とピンク髪の男性二人と小さいテーブルを挟んで相対して弥生が座っているボ
  ックス席を過ぎると空いている隣のボックス席に座る。
夏海「素敵な雰囲気ね。ほろ酔いそう」
雄太「僕はもう酔ってるし、あんまり飲めん。あとビール五本くらいかな」
夏海「そんなに飲んで大丈夫?」
雄太「どういう意味?」
  ボーイが来て注文を取る。
雄太「生ビール、ジョッキの大」
夏海「私は小さいので」
ボーイ「かしこまりました」
  ボーイ、去っていく。
弥生の声「それにしてもあなたたち捕まらずよく逃げてこれたわね。」
  夏海、聞き耳を立てる。
金髪髪の男性「そりゃこっちだって必死さ。捕まらなかったのは悪運が強かっただけさ。
 ただ、ゆるさねえのはあの如月という野郎だ、盗んだバックを受け取ったら俺たちを置
 いてきぼりにして逃げやがった。許しはしねえ、どんな手を使っても捕まえて懲らしめ
 てやるさ。それが俺たちのルールさ。今頃、死んでいるかも」
弥生「しっ、声がでかいよ」
  ボーイが夏海たちの席に着て、生ビール、おつまみなどを置いていく。
  ボーイが過ぎ去ったのを確認すると
金髪髪の男性「すいません。つい興奮して…」
夏海「(呟く)やはりそうか」
雄太「なに、なに」
  夏海、人差し指を唇に宛がう。
夏海「雄太君、出よう」
雄太「なに冗談いってんの、今飲み始めたばっかジャン」
夏海「雄太くんも一気に飲んで」
  夏海、生ビールをごくごく飲み干す。
  
〇 病院 集中治療室 中
  心電図モニターが警告音を発し、アップダウンの激しい波形を描いている。
  苦しそうな表情の如月。
  傍らで点滴の処置をし終えた看護師が、もう一人近づいて来た看護師に向かって
看護師「大至急、先生を呼んできてください。お願いします」
  近づいてきた看護師、即、踵を返し、小走りで出る。
  苦しそうな如月の顔。
  
〇 繁華街 深夜  (如月の回想) 質店店舗 前
  アスファルトの路面を叩きつきけるように降る雨。
  繁華街の歩道を傘を差しながら忙しそうに歩く人々。
  泥酔した男性が傘も差さずにふらふらと右、左と体をふら付かせながら歩いている。
  車道に一台の乗用車が質店店舗前に急停車する。
  車を運転している男性の顔。如月。
  ドアが空いて、前列助手席側と後部席にいた男性がバールを片手に降りてくる。
  前列助手側の男性の左手にはバール。右手には黒い手袋で黒い鞄も掴んでいる。
  二人とも顔は般若のお面をかぶっている。
  二人の男性と遭遇した泥酔した男性、二人を見て